出版社内容情報
謎の客は密室から煙のように消え失せた! 史上に名高い〈密室講義〉を含む不朽の名作
内容説明
ロンドンの町に静かに雪が降り積もる夜、グリモー教授のもとを、コートと冒子に身を包み、仮面をつけた長身の謎の男が訪れた。やがて二人が入った書斎から、銃声が響く。居合わせたフェル博士たちがドアを破ると、絨毯の上には胸を撃たれて瀕死の教授が倒れていた!しかも密室状態の部屋から謎の男の姿は完全に消え失せていたのだ!名高い“密室講義”を含み、数ある密室ミステリの中でも最高峰と評される不朽の名作。
著者等紹介
カー,ジョン・ディクスン[カー,ジョンディクスン] [Carr,John Dickson]
1906年、アメリカ、ペンシルヴェニア州生まれ。1930年に『夜歩く』を発表し、専業作家となる。1932年に結婚してイギリスに移住。以後、カーター・ディクスなどのペンネームと本名のジョン・ディクスン・カー名義を併用して多くの長短篇作品を発表し、「ミステリ黄金期」の巨匠の一人に数えられる。密室殺人や不可能犯罪ものを得意とし、また怪奇的な雰囲気を活かした作品や歴史ミステリも数多い。評論などでも活躍した。第二次世界大戦を機にアメリカに帰国。その後も渡英したが、1977年にアメリカ、サウスカロライナ州で死去
加賀山卓朗[カガヤマタクロウ]
1962年生、東京大学法学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
384
密室物の傑作!というよりも、その他の部分での工夫が秀逸で『本格力』での評価に納得。というよりも密室物としては突っ込みどころだらけだったりする。ただ、フェル博士の探偵ぶりが凄く光っており、密室講義→解決編と、見事な名探偵。密室講義に関しては、様々な作家が散々やり倒しているので、今となっては目新しさも興奮も感じない。新訳だが、入れ替わったコートの謎の辺りの説明が非常に分かりづらく、他にも長尺の説明文章には読みづらさを感じる。昔からカーは読みづらい印象だが、その内、決定版といえるような訳を出してもらいたい。2017/01/04
Kircheis
359
★★★☆☆ フェルシリーズ6作目にして密室講義が有名なカーの代表作。 自分達が作品の中の人物だというメタ発言からの密室講義は面白いが、その内容は深いものではないように感じた。 謎の真相はすごく凝っていて感心したものの、普通に考えて解ける類のものではなく、モヤモヤした気持ちになった(笑) 巨匠の作品だと構えずにユーモアミステリだと思って読むと楽しめると思う。 『帽子収集狂事件』以来となるランポール青年の登場は嬉しいが、ワトソン役はハドリーがしっかり確保しているため、存在感が希薄だったのは無念…2022/05/08
麦ちゃんの下僕
177
クリスティやクイーン、ヴァン・ダインなどは10代の頃から親しんできましたが…恥ずかしながらカーは今回が初読です。さすが“密室モノ”の古典的名作として名高いだけあって、2つの“不可能犯罪”の謎は実に魅力的でしたね!しかも、入れ替わったコートの問題やダイイングメッセージの意味など“密室”以外の謎も多数仕掛けられていて、ミステリーとしての濃厚さに感嘆せざるを得ませんでした!伏線の張り方も絶妙で、(確かにツッコミどころも多々ありますが笑)解決編は終始唸らされっぱなし…有名な「密室講義」も実に興味深かったです♪︎2022/03/06
扉のこちら側
133
2017年191冊め。【302/G1000】登場人物の証言から事件像が変わっていく様子がおもしろい。トリックとしては驚かされながらも、いやいやありえないと思わされたり。これが密室講義のフェル博士か。2017/02/23
ケイ
106
なるほど。密室殺人の古典に相応しい作品だ。作者が、この中で密室殺人小説の歴史やタイプについて分類しているのも面白く、ガストンルルーやポーもまた読みたくなった。この作品の面白さはどうかいてもネタバレになってしまうし、ネタバレした密室殺人小説を読む気もしないだろうから、感想がどう書くべきか…。犯人はもしかしたら?と思い当たらなくもないが、トリックや動機は予想外であった。2015/07/04
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- 和書
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