感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aminadab
24
カー長編16冊目。2200円+送料で入手。後期(1955年)の時代物。情報の出し方に技巧を凝らしてあるので粗筋が書きにくいが、1805年イギリス渡海遠征を目論むナポレオン軍24万を襲った歩哨連続殺人にジョゼフ・フーシェが挑む。冒頭130ページ、複数視点の入り乱れた叙述から徐々に各登場人物の立場がわかってくる間の不穏感が絶妙。そこからはすごいテンポ。さらに登場人物では英人仏人の書き分けが見事。主人公は例によって鞍馬天狗だが、ハニートラップ専門の仏人女スパイとアメリカ公使夫妻が絶品。歴史好きには強くおすすめ。2021/08/19
星落秋風五丈原
23
まさかの歴史ものです。食えないフーシェと架空の主人公が対決!ナポレオンが親父呼ばわりされてます。2022/01/06
maja
22
18世紀、ナポレオン皇帝下の英仏戦争時代。作戦が滞り士気が下がった仏軍陣営で次々と兵を襲う殺人鬼が現われた。「喉切隊長」と名乗りをあげる殺人鬼に陣営内は震えあがる。警察大臣フーシェは捕えていた英国人スパイ・アランを巧みに押さえ込んで犯人を暴こうとするが・・。実在の人物を物語に置いて膨らませた歴史ミステリで、登場人物たちそれぞれの差し迫る立場の駆け引きがいい。活劇の末、涙ぐましいアランの合図の指文字・・懐かしい表紙のカー作品。再読。2024/12/17
本木英朗
22
ジョン・ディクスン・カーの歴史ミステリの大傑作。俺は2001年と07年にそれぞれ一回ずつ読んだ。今回が3回目である。やはりカーは本当に天才だわ。彼の書くものはすごいんだけど、中でもこの作品は一、二を争うかもしれない。そしてそれはやっぱりフーシェのことが書かれているのが一番だと思うね。また5年以内にもう一度読みたいなあ。2019/05/23
Tetchy
10
アランの身柄の保障を条件に喉切り隊長の犯人捜しをさせるといったサスペンス色を凝らしているのがミソ。しかし主眼はあくまでもアランの諜報活動にあり、その辺のスリルは出色の出来。が、しかし「喉切り隊長」の正体が強引過ぎる(と思われる)点と、結局「喉切り隊長」の殺害方法の不思議さについてなんら解明がされていない点の2点が不満。2009/06/02
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