出版社内容情報
ニューヨークを震撼させた連続絞殺魔〈猫〉事件。不可解な謎にエラリイが立ち向かう。
内容説明
次から次へと殺人を犯し、ニューヨーク全市を震撼させた連続絞殺魔“猫”事件。すでに五人の犠牲者が出ているにもかかわらず、その正体は依然としてつかめずにいた。手がかりもなく、目撃者も容疑者もまったくいない。“猫”が風のように街を通りすぎた後に残るものはただ二つ―死体とその首に巻きつけたタッサーシルクの紐だけだった。過去の呪縛に苦しむエラリイと“猫”との頭脳戦が展開される。待望の新訳版で登場。
著者等紹介
越前敏弥[エチゼントシヤ]
1961年生、東京大学文学部国文科卒、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
246
劇場型犯罪ミーツ名探偵。クイーン探偵としてはあまり良いところがないが、物語としては大成功。ただ、なぜ『十日間の不思議』を飛ばして新訳出したのか、配慮が欲しかった。本格ミステリではなく一級のサスペンスとしてカテゴライズしているレビューが多く、実際その通りだが、本格ファンのツボをおさえた構成になっていて流石。よくいわれる後期クイーン問題、『十日間~』から『九尾~』と読み進めると、作者はそこまで深刻に捉えていなかったのでは。苦悩も復活も割合あっさりしたもの。日本でだけ騒ぎすぎか、はたまた新訳の読みやすさ故か。2016/08/04
cinos
74
旧訳で読みましたが全く覚えていなくて後半驚きました。無差別殺人のミステリで市全体がパニックになる様子がしっかり描かれているのがすごいです。殺される被害者のミッシングリンクもよかったです。読書会で表紙の話が出てなるほどと感心しました。2022/05/29
ゆかーん
74
エラリイ・クイーン氏の王道ミステリー。9人の連続殺人事件に秘められた謎を、著者エラリイが探偵となって解き明かす推理小説。50年以上昔の名作に関わらず、21世紀の現代でも夢中になってしまう素晴らしい作品。他のミステリーが物足りなく感じてしまうほど、ワクワクドキドキの連続です。犯人が最後の最後まで分からないため、残り数ページまで楽しめました。また、越前敏弥さんの訳が素晴らしく、要所要所でストーリーを盛り立ててくれます!『災厄の町』も発売されているようなので、そちらも是非読んでみようと思います。2016/10/02
つねじろう
68
アガサクリスティの次に嵌ったエラリィクィーン。大概読んでたつもりだったけど漏れてたこの猫。新訳になって装丁の猫と目があって購入。う〜ん懐かしいエラリィ・クィーン。そうかぁこれは「十日間の不思議」の後なんだ。クィーンの凹んでる時期ね。でも彼はキャラ的に颯爽としつつも案外打たれ弱い部分は内在してたからこんなもんかなぁって。ドルリィ・レーンにも通じる所もある。特に後半は横溝正史的と云うか金田一耕助的。全てやっちまったぜの後で謎解きと云うか解説が始まる。出し惜しみするなよ〜と言うよね普通。でも中々のお話しでした。2015/09/03
キムチ27
51
高校時代よく読んでいた(といっても、ポピュラーな国名シリーズだけ)筆者作品の中でかなりの評価・・ということで読んだのが私的に急務が絡んだ為気持ちにゆとり持てず、四苦八苦して読了。「クイーン探偵が父の警視との間ですったもんだし、内省的に懊悩で苦渋するところにかかる場面が多い」こともあり、ノー天気感想とは言いかねる。ミッシングリンク~群衆が大量殺人で繋がることに依る集団的恐怖がテーマのコア。殺人者「猫」の手口に『これって現実的に可能かな』と思わないでもないが。人間感情の怖さを改めて思い知った次第|д゚)2016/03/01