出版社内容情報
ニューヨークを震撼させた連続絞殺魔〈猫〉事件。不可解な謎にエラリイが立ち向かう。
内容説明
次から次へと殺人を犯し、ニューヨーク全市を震撼させた連続絞殺魔“猫”事件。すでに五人の犠牲者が出ているにもかかわらず、その正体は依然としてつかめずにいた。手がかりもなく、目撃者も容疑者もまったくいない。“猫”が風のように街を通りすぎた後に残るものはただ二つ―死体とその首に巻きつけたタッサーシルクの紐だけだった。過去の呪縛に苦しむエラリイと“猫”との頭脳戦が展開される。待望の新訳版で登場。
著者等紹介
越前敏弥[エチゼントシヤ]
1961年生、東京大学文学部国文科卒、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
253
劇場型犯罪ミーツ名探偵。クイーン探偵としてはあまり良いところがないが、物語としては大成功。ただ、なぜ『十日間の不思議』を飛ばして新訳出したのか、配慮が欲しかった。本格ミステリではなく一級のサスペンスとしてカテゴライズしているレビューが多く、実際その通りだが、本格ファンのツボをおさえた構成になっていて流石。よくいわれる後期クイーン問題、『十日間~』から『九尾~』と読み進めると、作者はそこまで深刻に捉えていなかったのでは。苦悩も復活も割合あっさりしたもの。日本でだけ騒ぎすぎか、はたまた新訳の読みやすさ故か。2016/08/04
tonnura007
116
NYに連続殺人鬼”猫”が出没。エラリーは否応なしに事件解決に引き連れられるが、その間にも被害者は増え続ける。 再読。新訳版では初読み。被害者のミッシングリンクとそこに至る過程があまりに鮮やか。「なぜ男性被害者には既婚者と未婚者がいるのに女性被害者は未婚者だけなのか」は本当に優れた着眼点だし、被害者の年齢がどんどん下がっていく理由と途中で年齢が大きく開く理由も面白い。 また猫一匹に恐慌状態に陥るNY市民の群集心理の描写も鮮やか。国名シリーズやレーン四部作とはテイストが違い、著者たちの幅の広さが伺える名作。2024/12/11
cinos
76
旧訳で読みましたが全く覚えていなくて後半驚きました。無差別殺人のミステリで市全体がパニックになる様子がしっかり描かれているのがすごいです。殺される被害者のミッシングリンクもよかったです。読書会で表紙の話が出てなるほどと感心しました。2022/05/29
ゆかーん
75
エラリイ・クイーン氏の王道ミステリー。9人の連続殺人事件に秘められた謎を、著者エラリイが探偵となって解き明かす推理小説。50年以上昔の名作に関わらず、21世紀の現代でも夢中になってしまう素晴らしい作品。他のミステリーが物足りなく感じてしまうほど、ワクワクドキドキの連続です。犯人が最後の最後まで分からないため、残り数ページまで楽しめました。また、越前敏弥さんの訳が素晴らしく、要所要所でストーリーを盛り立ててくれます!『災厄の町』も発売されているようなので、そちらも是非読んでみようと思います。2016/10/02
つねじろう
69
アガサクリスティの次に嵌ったエラリィクィーン。大概読んでたつもりだったけど漏れてたこの猫。新訳になって装丁の猫と目があって購入。う〜ん懐かしいエラリィ・クィーン。そうかぁこれは「十日間の不思議」の後なんだ。クィーンの凹んでる時期ね。でも彼はキャラ的に颯爽としつつも案外打たれ弱い部分は内在してたからこんなもんかなぁって。ドルリィ・レーンにも通じる所もある。特に後半は横溝正史的と云うか金田一耕助的。全てやっちまったぜの後で謎解きと云うか解説が始まる。出し惜しみするなよ〜と言うよね普通。でも中々のお話しでした。2015/09/03
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