出版社内容情報
古代エジプトの碑文の解読から、保護犬との生活、脳のMRIスキャンまで。イヌの愛情の秘密を様々な実験を通じて解明する意欲作
内容説明
「愛犬の習慣は、ごくごく小さなものでも、わたしたちは愛されているのだと改めて伝えてくれる」では、その根拠を科学的に証明するには?古典的な行動実験からMRIによる脳画像のスキャン、太古のオオカミをイヌに進化させた遺伝子の探求、「キツネをイヌにする実験」まで。イヌ研究の第一人者が世界中を飛び回り、ありとあらゆる手法を駆使してイヌの深い愛情のメカニズムを徹底的に解明する意欲作。
目次
第1章 ゼフォス
第2章 イヌの特別なところとは?
第3章 イヌは人間を大切に思っている?
第4章 身体と心
第5章 起源
第6章 イヌの愛はどう育つ?
第7章 イヌをもっと幸せに
著者等紹介
ウィン,クライブ[ウィン,クライブ] [Wynne,Clive D.L.]
1961年、イギリス生まれ。アリゾナ州立大学教授。同大学イヌ科学共同研究所の創設者。それ以前には、フロリダ大学でアメリカ初のイヌ専門の研究室を生み出したほか、ドイツ、オーストラリアに赴任した経験も持つ。100本以上の査読付き論文に著者として名を連ね、イヌの動物心理研究のパイオニアとして知られる。ナショナルジオグラフィック、BBCにも出演し、各国での講演も多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
68
犬好きな人にぜひ読んでほしい本になっている!犬といえば太古の昔から人間ともに過ごしてきた動物の1つ。その犬についてあまり知らないことが多い。この本は犬の行動や愛情表現などの認知行動についてまとめた科学書になっている!まず私自身犬が苦手である。昔噛まれたときの悪いときのイメージが残っている。だかこの本を読むと犬って本当愛おしい!苦手な意識が完全に消えたわけではないがそばを通ったときは飼い主さんとお幸せにって心なかで投げかけたくなるような気持ちになっている!ぜひいろんな方に読んでほしい!2023/03/17
ローレンツ🐾
23
原題【DOG IS LOVE(犬の愛)】 犬に愛があるのはわかりきっていたことではあるが、その愛を科学で証明する。やはりこれほどに他種へも愛情を持つ動物は他に類をみない。 愛犬家なら必ず読むべき一冊。 私たち人間は彼らのことをもっともっと学ばなければならない。 彼らは常に私たち人間以上に学んでいる。2023/11/28
佐倉
14
エレベーターで乗り合わせた知らない犬が懐っこく指を舐めてきたことがある。事程左様に飼い犬は友好的なケースが多い。その懐っこさについて心理学や脳内物質、遺伝子や考古学などから分析していく。興味深かったのは犬と狼を分ける遺伝子WBSCR17について。これは過度に社交的なことが多いウィリアムズ症候群患者と共通した遺伝上の特徴であり、性格や行動の傾向も共通点があるという。愛着行動が幼児と近かったり親愛の情を感じる時にオキシトシンの分泌されていたりと人間と犬は思っている以上に近い存在なのかも知れないと思わせる一冊。2025/01/30
春色
5
犬は人懐こい。いつも惜しみなく愛情を表現し、伝えてくれる。その愛のしくみについて解明しようとする研究を追っていく本。興味深かったのは以下の4点。①犬の家畜化プロセスについて、一般には人間が人懐こい犬を選んで交配したと信じられている。しかし、筆者によると、犬の祖先は狩猟採集時代のゴミ捨て場をエサをもとめてうろついていたのではないかという。その後人間の狩りについてくるようになった。②犬にはウィリアムズ症候群(様々な症状があるが、中でも過剰な社交性が目立つ)の患者と遺伝子上の類似がある。③MRIで頭のスキャン2025/03/24
白いハエ
5
「イヌには人を愛する能力がある」という科学的な手続きで記述するにはナイーブにすぎる結論が、実に見事に明かされている。人の子供と似た結果を示す行動実験、人とイヌ共に見られるオキシトシンの分泌、人にも見られる過剰な社交性をもたらす遺伝子配列、数々の定量的な知見から「イヌの愛情を疑うことは、あなたの身の回りの人の愛情を疑うことと変わらない」というアクロバットな方法でこの命題を訴えかける。餌にありつくための習性というのなら人間の社交性だって一緒ではないか、と、犬を見つめる眼差しが人間にそのまま返ってくるのだ。2022/11/28