出版社内容情報
沢木耕太郎氏推薦! パリ解放の真実を描いたノンフィクションの傑作。解説/柳田邦男
内容説明
ヒトラーの破壊命令によってパリに危機が迫っていた。抵抗運動は勢いを増し、市街で激しい戦闘が繰り広げられた。自由フランス軍を率いるドゴールは、連合軍とともに一路パリ入城を目指す。作家ヘミングウェイは従軍記者団に加わり、解放の瞬間に立ち会うべくパリに向かう。砲弾が飛び交う文化の都は、戦火の荒波に翻弄されて―膨大なインタビューや資料をもとに、世紀のドラマを再現したベストセラー。
目次
第2部 闘争(承前)
第3部 解放
著者等紹介
コリンズ,ラリー[コリンズ,ラリー] [Collins,Larry]
1929年、アメリカのコネティカット州生まれ。イェール大学を卒業後、UPI、“ニューズウィーク”の特派員として北アフリカ、中東、ヨーロッパの各地で活躍。2005年没
ラピエール,ドミニク[ラピエール,ドミニク] [Lapierre,Dominique]
1931年、フランス生まれ。“パリ・マッチ”の特派員としてヨーロッパ、アメリカ、アジアで活躍。熱心な慈善家としても知られ、81年にはインドに子どものための人道支援団体を設立、スラム街のハンセン病患者の救済に尽力している
志摩隆[シマタカシ]
1931年生、58年東北大学文学部仏文科卒、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
356
ヒトラーから、パリを灰燼に帰すべき命を受けた大パリ司令官コルテイッツと在パリドイツ軍とレジスタンスとの攻防。そして、ついに連合国軍がパリに入城する。この間の一連の動きで、なんとも不可解なのはコルテイッツの動きだ。お蔭でパリは現在の姿を留めることができたのだが。また、最も高度に政治的なのはドゴール将軍だろう。政治とはこういうものなのかと感嘆もし、また自身の非政治性を思う。1944年8月25日パリ解放の日。パリ市民にとってこれほど喜ばしい日はないはずなのに、そこには不条理なまでの悲劇も内包していた。⇒2018/08/18
Willie the Wildcat
74
大戦の齎す物心両面での破壊。本能と良心の葛藤の先に残される爪痕。戦争に勝者はないんだよなぁ・・・、再認識。冷静厳格だったコルティッツの右腕・ウンゲル大佐が眺める家族写真の場面、そしてコルティッツと仏軍将校ヤイの”再会”の場面。どちらも心に響く。加えて、ドゴールとコルティッツの愛読書が意味深。当たり前だけど、皆1人の人間・・・、そこに違いはない。蛇足ですが、『町人貴族』読まなきゃ!2017/06/05
藤月はな(灯れ松明の火)
69
パリっ子達は遂に殺戮されない為にドイツ軍へ火炎瓶を投げ込んで戦闘を始めた。そんな戦闘中に対し、「パリが解放された」という早すぎた誤報で沸き立つロンドンの様子をラジオで聴いて「彼奴らは戦争が分かっていない」と激怒する、フランス人達の気持ちを思うと苦しくなる。一方で解放は傷病者も含むドイツ兵の虐殺やドイツ人と契りを結んだ娘の髪を刈ったり、デマでゴア夫妻のように惨殺される者、数時間前に亡くなった婚約者を見つけてしまった女性などの被害者を生み出した事も忘れてはいけないのだ。2016/09/03
HANA
65
政略、戦略、様々な思惑が絡み合う中、ヒトラーのパリ破壊命令の刻限が迫る。下巻は連合軍がパリに迫る様子から、ドゴールの権力確立までが描かれている。これを読むとパリが破壊から免れたのはいかに危うい綱渡りの上に成立したかが明らかになり、読んでいて本当に手に汗を握る。後半は解放後の様子で、その暗い部分も一部触れられているものの大半は人々の歓喜の模様。上巻同様の様々な人によるモザイクのような造りで「パリ解放」という第二次世界大戦中重要視されない事件が、多方面からの光を浴びたように浮かび上がらせてくれた一冊であった。2016/04/26
harass
60
パリ駐屯独軍司令コルティッツ将軍は、ヒトラーの命令をそのまま実行することは出来なかった。ヒトラーは「パリを破壊せよ」と命じていたのだ。苦悩の末将軍は命令を無視することに。将軍の意図を汲んだ連合軍は、急遽フランス人部隊をパリに急行させる。激しい戦闘と解放。悲喜劇の人間ドラマのボリュームに驚く。実に圧倒的なディティールの量。ノンフィクションのエクリチュールを完成させた作品といってもいいと思う。なんどもでてくるワルシャワの件は他の本で読みたい。ほぼ同時期にパリとは逆にナチスに徹底的に破壊された都市だ。2016/05/22