出版社内容情報
古今東西の神話・民話に登場する英雄たちの冒険を比較・分析し、その基本構造と共通性から人間の心の深層に迫る神話論の決定版
古今東西の神話・民話に登場する英雄たちの冒険を比較・分析し、その基本構造と共通性から人間の心の深層に迫る神話論の決定版
内容説明
世界最古の英雄譚といわれるギルガメシュの冒険からオデュッセウスの苦難の旅、ブッダの修行、イザナギとイザナミの物語まで、古今東西の神話や民話に登場する「英雄」たちの冒険を比較すると、心を揺さぶる物語の基本構造が見えてくる―。ジョージ・ルーカスに“スター・ウォーズ”創造のインスピレーションを与えるなど、世界中のクリエイターたちに多大な影響を与えた神話学者キャンベルによる古典的名著の新訳版。
目次
プロローグ モノミス―神話の原形
第1部 英雄の旅(出立;イニシエーション)
著者等紹介
キャンベル,ジョーゼフ[キャンベル,ジョーゼフ] [Campbell,Joseph]
1904年、ニューヨーク州生まれ。コロンビア大学で哲学・神話学を専攻。パリ大学とミュンヘン大学でも学んだ。サラ・ローレンス大学で長年教職につくかたわら、世界各地の神話の比較研究に多くの業績を残し、斬界の第一人者として活躍した。1987年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
98
失敗は偶然の産物ではない。抑圧された願望と葛藤の結果である。「聖アントニウスの誘惑」を覚えていれば人生で起こる殆どのことはかすり傷と思えるかな。オーストラリアでの2度目の割礼の儀式に古傷を開いた血を流し、男以上の存在としての英雄になる。なんていう神格化だ。菩薩の慈悲深い行為としての虚空ほどの思索は超越できないし、したくないな。2021/03/06
ころこ
56
我々が普段触れるおとぎ話はいつも同一なのに、なぜ人間の琴線に触れるのか。想像力の根源がありふれているものの中にあるのはなぜかを考察している。人間の無意識にある重要なもの、その具体化が神話だが、パターンを抽出することでそこへ帰還することが可能だと著者は考えている。神話の引用がやたらと多い。そのせいで大変読み辛くなっている。加えて翻訳に想定される読者に対する配慮がない。神話の中身について興味があれば本書を、抽出したパターンについて興味があれば関連本に移った方が実りは多い。2024/07/07
南北
47
世界各地の英雄伝説から基本構造を明らかにした比較神話学の本である。英雄は日常世界から非日常世界に行き、そこで何らかの力を手にして、日常に戻るというものである。これは世界各地の民族にある通過儀礼とも共通する構造であり、ユングなどの心理学でも取り入れられている。また物語論として捉えればクリエーターにとっても応用できるもので興味深く読むことができた。いろいろな読み方ができる本だと思う。2025/07/21
彩菜
47
神話の英雄達の冒険は世界中で驚く程同じ構造を示すという。それは通過儀礼の定型、分離→イニシエーション→帰還の単純な円環と言って良い。何故同じなのだろう、何を伝えようとしてるのだろう。上巻では神話と夢の文法が同じである事に注目し、心理学を援用しながら物語円環上のモチーフを読み解いて行く。そこに現れるのは覚醒と夢の、父と子の、死と再生の絶えざる循環である。英雄達が神話的円環の底で体験するのは母なる女神との結婚や父との和解として象徴的に語られる自分と世界は同質なのだという認識、つまりは意識の、存在の拡張である。2022/02/07
Vakira
44
「生きるよすがとしての神話」が面白かったので、ジョーゼフ・キャンベルの他の本を読んでみる。世界最古の神話ギルガメッシュ、星座の神話になっているギリシャ神話、日本の神話、宗教上のキリストやブッダ、お伽噺上の英雄も対象に・・・ここで言う千の顔とはいろんなパターン英雄を比較し、何故英雄伝説が創造されたか?また必要であったか等を考察する。英雄と悲劇、悲劇を想像した理由。精神医学的にみた伝説の真相推理。人は不死を願うが、死があってこそ復活と誕生がある。いろんな例が多すぎチョット混乱。2017/02/25