内容説明
世界屈指の歴史を誇るケンブリッジ大学に、雌猫のトマス・グレイがやってきた。思索を好む彼女は水を得た魚のように学者世界に溶けこむ。やがて得た無二の親友、数学者のファイストと協力し、彼女はそのしっぽの働きで古来の数学上の難題を解くことになる…学者たちの学問上の営みをユーモラスに再現。ゆったりした哲学的雰囲気に読者を誘い、多数の挿絵とあいまって、その愉しさを味わわせる1冊。
著者等紹介
デイヴィス,フィリップ・J.[デイヴィス,フィリップJ.][Davis,Philip J.]
アメリカ、ブラウン大学の応用数学科名誉教授。著書に『数学的経験』(全米図書賞受賞)『デカルトの夢』(以上2点はルーベン・ヘルシュとの共著)などの数学解説書、さらに『ケンブリッジの哲学する猫』およびその続篇であるThomas Gray in Copenhagenなどのユーモラスなフィクション作品がある
ドリアン,マーガリート[ドリアン,マーガリート][Dorian,Marguerite]
作家、イラストレーター。子供向けの絵本をはじめとして、小説や詩の著書が多数あり、詩の翻訳や詩集の編纂も行なう
深町真理子[フカマチマリコ]
1951年都立忍岡高校卒、英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆくのき
5
「じっくり考えることのできる場所」の貴重さを再認識。学問と探究を愛する大学の面々がいとおしい。お金にならなくても、目に見えて役に立たなくても、自分の好奇心には忠実でありたいと思う。2013/02/23
じーーーな
3
猫のその日暮らしのようにまったりとしたお話。ファイスト博士と雌猫トマス・グレイの慈愛と信頼に満ちた交流を描く創作。 読み進める傍からエピソードがふわふわと抜け落ちていったけれど、それでもまあいいかと思えるような至福の読書。 実はかなり衒学に走ってるけれどそんなのどうでもいいよね。 こんな暖かい時間の歩みに揺られたいのです。 2012/01/19
ヘムレンしば
2
最初はまぁ、いわゆる知的エリートを猫の目線から皮肉ってみた「吾輩は猫である」の西洋版か?と思ったけど、全然別物でしたね。大真面目に猫に向き合う学者先生達がコミカルに描かれてますけど、全体的に優雅で癒される内容です。ケンブリッジは良い大学ですな。2022/12/08
りょうた
1
トマス・グレイは非常に魅力的な猫(ひと)だった。その深い思索は本当に素晴らしい。僕にとっても「なくてはならない猫」になった。また読みたい。2015/02/17
mym
1
ふわっと空気。それぞれ面白かったが、良くも悪くも起伏の少ない印象、共有すべき英国の常識みたいなものが、楽しむ前提には多くあるという気がした。タイトルによる期待からすれば、少々物足りないと思った。2012/03/14