内容説明
「相対論は嘘である」「進化などなかった」「虹彩を見れば病気がわかる」など、壮大な科学理論から健康上の身近な問題まで、奇妙奇天烈な説を標榜する者は跡をたたない。なぜそれらにたやすく騙されるのか?世に蔓延する擬似科学の驚くべき実態を、科学解説書の第一人者がシニカルかつユーモアあふれる筆致で描く。「トンデモ科学を批判的に楽しむ」態度の先駆を成す不朽の名著。
目次
科学の名において―擬似科学と奇人のプロフィル
平たい大地、中空の地球―地球空洞説の周辺
地球をゆるがした怪星たち―聖書の奇跡の「天文学的」裏づけ
くたばれアインシュタイン―相対論の揚足とり
地質学対創世記―進化論への抵抗
憎悪を煽る人々―人種差別の「科学的」基礎
医療の四大宗派―同種療法、自然療法など
食物のあぶく流行―断食からハウザー食まで
オルゴン理論―オルガスムと宇宙論
ダイアネティックス―出生前記憶と精神治療
ESPとPK―ラインの実験の問題点
著者等紹介
ガードナー,マーティン[ガードナー,マーティン][Gardner,Martin]
1914年生まれ。シカゴ大学哲学科を卒業後、新聞記者、海軍従軍を経て『サイエンティフィック・アメリカン』誌の数学ゲーム部門編集長を勤めたのち、フリーランスのサイエンスライターとして活躍、科学解説書からゲーム・パズル物までの幅広い著作で絶大な人気を誇る
市場泰男[イチバヤスオ]
1924年生、東京大学理学部中退
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
348
20世紀に生まれた似非科学のさまざまな主張を取り上げる本だが、正当科学と疑似科学の区分けが曖昧で、恣意的なものに感じられる。結局、著者が歴史的な経緯と主観を持って「怪しい」と感じたものを主張者の人格を誹謗することで読者に納得させようとする姿勢があり、ちょっと気に食わない。訳者のせいかもしれないが、全体的に上から目線感があり、本書の内容をうのみにするのも危険に感じた。いちおう、下巻もあるが、読もうとは思わない。2016/05/18
山口透析鉄
26
解説を故・山本弘氏が書かれていたので、取り上げておきます。私が最初に読んだのは現代教養文庫版です、学生の頃で、後々にこのハヤカワ文庫版も手に取りましたよ。 元祖トンデモ本みたいな内容をかなり網羅的に取り上げていて、ホメオパシー療法等の問題点も出てきていますし、非常に読みやすく、かつ興味深い良書です。 ガードナー氏の本もハズレはないです。2024/05/02
まりお
16
平らな地球、地球の中は空洞、進化論と宗教、相対性理論への奇抜な反論、こじつけに過ぎない人種差別論など、実際に世に現れた奇妙奇天烈な論理を集めたもの。平らな地球、地球空洞説あたりはとてもSFチックな用語や話が読めた。SFとして読むならばとてもアイデア溢れて面白い。しかしこれが小説ならば救いはあるが、現実への証明として現れ、受け入れられてしまったのが、残念である。2016/12/26
nob
10
地球空洞説、相対論・進化論の否定、ホメオパシー、オルゴン理論、ダイアネティックス、超能力、等々の「疑似科学」の数々。今となっては少々古い内容だが、冒頭に書かれている疑似科学者の特徴は現代でもピタリ当てはまる。多くの場合、人は、論理性や科学的根拠と関係ないところ(例えば、それを提唱する人の外見とか喋り方とか、売り込み方とか)で信じるかどうかを決めてしまうのだろう。2018/03/20
筑紫の國造
6
半世紀以上前の本ではあるが、今も有用な「偽科学」批判の本。冒頭で総論として「偽科学者」の奇妙な生態を紹介し、以後は主にアメリカを舞台とする各偽科学を取り上げる。ガードナーは偽科学者を「奇人」と呼び、彼らが偏執的で思い込みが強く、専門家からの反論がない事を「自分が正しい証拠」と言い募る。こうした連中は、人文科学にも少なくないだろう。問題は、一見無茶苦茶な偽科学が、相当程度信じられてしまう事だ。アメリカの豊富な実例を引いて語られる偽科学の横行は他人事ではない。現代日本でも、類例は十分見られるだろう。2019/10/12