内容説明
ハイテク装備のブラックホーク・ヘリ2機の墜落は、タスク・フォースの兵士たちに大きな動揺をもたらした。救援のための車輌部隊も混乱をきたし、増え続ける負傷者の後送は困難をきわめる。刻々と事態は悪化し、水や食料、弾薬の不足に苦しむ彼らは絶対数で勝る敵に追いつめられてゆく…一昼夜におよぶ緊迫した局地戦の全貌を抜群の構成力と映像的な筆致で描破し、全米大ベストセラーとなった話題作。
目次
第3部 撃破(承前)
第4部 アラモの砦
第5部 N・S・D・Q
著者等紹介
伏見威蕃[フシミイワン]
1951年生、早稲田大学商学部卒、英米文学翻訳家
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
73
次々と倒れていく兵士達。戦場は地獄絵図。登場人物があまりにも多く、場面も次々と変わるため、全容を理解することが難しい。だがそれが混乱した現場を良く表している。他国の内戦に介入し、軍隊を派遣して武力で抑え込む事が正解だとは思わない。だが暴力を使わない解決は、関係者全てに譲歩する姿勢が必要で時間がかかる。その間にも多くの人々が飢えや戦闘の犠牲となっていく。後に米軍は撤退したが、内戦は継続し犠牲者は40万人以上とも言われる。果たして今ソマリアはどうなっているのか?現状についての著書も読んでみたいと思う。★★★★2016/04/24
ぱちお
18
後書きにもあったが、映画では説明しきれない政治的な背景、それぞれのチームの個々の動きなどが綿密に知ることができた。市街戦の怖さがひしひしと伝わってきた。2015/08/30
slider129
15
混乱した紛争地に秩序を取り戻す為に米軍が介入するという正義の押し売りは今に始まったことではないが、ソマリアで起きた急襲作戦での読みの甘さはその後のアメリカの軍事活動にかなりの制限を加えるキッカケになったようだ。最後に書かれている通り、勝っても負けても帰還兵は悪夢の記憶や古傷の痛みと毎日闘い続けなければならない。そう言えば南方で戦争を経験した今は亡き父からは戦争の話は殆ど聞かせてもらえなかった。今にして思えば、人の生き死にについて達観したような発言をしていた事が戦地で苦しい思いをしたことの現れだったのかな。2014/09/15
中島直人
9
臨場感、迫力が半端ない。映画もみたが、光景が目に食い込んでくるような迫力を持つ文章力に圧倒された。また、アメリカ側、ソマリア側、双方の視点が取り入れられており、バランスの取れた内容となっているのではないか。これがきっかけでアメリカは無人戦闘機に注力するようになっていく、大きなエポックとなった戦争のドキュメンタリー。2014/03/31
TCrb
6
準備・戦闘・処理・検証を冷静に俯瞰したエピローグは、映画では見られない部分であり、また、この事件を総括する重要な章だ。「外の世界はソマリアを忘れた。国際社会の善意という大きな船は、出帆してしまった」、エピローグで語られるこの言葉は、忘れられかけたこの戦闘の一面を示している。解きほぐしようのない第三世界の問題にアメリカが積極的に介入しなくなった(言いかえれば看過しがちになった)一因としてのブラック・シーの戦闘。政府・指揮官・現場の間の齟齬は戦争状態でなくとも検証され続けるべき現代の難題だということを再認識。2011/04/08