内容説明
かつて生物は、少しずつ着実に進化すると考えられてきた。これに対してグールドは、進化は突然起こると主張する。いきなり完全に変化したかたちで出現するというのだ。このような“断続平衡説”をはじめとして、自然界をしなやかな知性で見直すことにより、新たなメッセージをつぎつぎに見いだしていく。生物の形態や行動をつぶさに観察して、背後にひそむ生物進化の本質にするどく迫るグールドの代表作。全米図書賞受賞。
目次
第5部 変化の速さ
第6部 初期の生命界
第7部 蔑まれ閉めだされた者たち
第8部 体の大きさと時間
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
那由田 忠
10
恐竜は愚鈍だったか、有袋類を弁護すなど、当時の情報の下での主張だからいろいろ限界はあると思うけれど,興味深い分析を楽しく読んだ。進化を論じるグールドさん、とっても面白いです。もっと読みます。2016/10/17
Kazuhisa Hirao
3
ダーウィンはダーウィニアンではなかったそうだ。自然淘汰が生物進化の大きな要因ではあるものの全てが自然淘汰で片付けられるものではないと考えていたそうだ。実際その通りではある。 本書はかなり古い本ではあるので、その後の知見で判った事もあるのだと思うが、啓蒙されるところはまだまだまだたくさんある本ではある。2012/02/04
bittersweet symphony
2
他の指と対向しているパンダの親指状のは実は手首の骨の一部が進化したものだとか、名高いピルトダウン人頭骨の捏造事件の真相を推理したり、本川達雄氏の著作で有名になった動物のスケールによる時間感覚の違いなどもこの時期にすでに言及されています。地球の表面は微生物の化石で覆い尽くされていたとするとんでも学説について、理論展開上の意義を見出したり、月の潮汐力によって地球の自転が遅くなっている・月が地球から遠ざかっていることを、珊瑚化石の年輪(日輪)から跡付けようとする話など…。2005/08/08
きざはし
2
発展が目まぐるしい生物学において30年以上前に書かれていながら、その魅力は全く色褪せていない。 1992年のベストセラー『ゾウの時間ネズミの時間』の大意は本書の1章に収まっていると言えば、内容の濃密さが伝わるか(本川達雄が本書を読んでいたのは間違いない)。 下巻になって、自説である区切り平衡説を土台とした話が増えた。ここでほぼ初めてダーウィンと意見を異にしたのではないか(決してダーウィニズムとではない)。 もっと多くの人に読んで欲しい本。2010/09/10
加賀京
1
読みやすい