内容説明
1944年6月6日、人類史上かつてない大規模な上陸部隊が、ノルマンディの海岸を埋めつくした。連合軍の全兵力を結集したヨーロッパ反攻作戦が、ついに開始されたのである。要塞地帯を突破されて総崩れとなったドイツ側は、この日を境に、急速に敗北への道を歩んでいく。同名映画の原作としても有名な本書は、全世界の運命を決した24時間の激戦をドラマティックに再現した戦記物語の不滅の名作である。待望の新訳決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
73
ドイツ占領下のフランスに、ノルマンディから上陸する作戦。アイゼンハワー将軍の下、ドイツの空挺機にはドーバー海峡の向こうまで続くように見えたほどの数の船で艦隊を組み、米、英、カナダ、フランスの兵士達は、五ヶ所に別れ、まずパラシュート隊が決死の覚悟で向かう。そのまま、墜落死、溺死して、無駄死にとなる物もたくさんいた。現地のドイツの最高責任者ロンメル元帥はドイツにいて、朝まで起きなかった。最初に連合軍が降り立ったのは、6月6日の午前0時過ぎだったのだが。ドイツ兵にもあっぱれな飛行機乗りがいたことも描かれている。2014/07/31
skunk_c
71
同名映画の原作ともなった著者の最初の戦争ノンフィクション。1995年の改訳版で読みやすかった。著者の手法は膨大なインタビューをテーマ別に積み上げ、登場人物に語らせながら全体の流れを編んでいくもので、いわゆる戦史とは異なり、極めて臨場感に溢れている。米・英・仏・独の将軍から兵卒、市民や家族と多様な視点から複眼的に戦闘の模様が描かれる。この手法は遺作『遙かなる橋』まで通底している。印象的だったのがアイゼンハワーが作戦失敗のために用意した記者発表原稿。過誤の責任を自分一人に負わせる内容。さて日本のリーダーは?2024/06/08
けい
60
Many men came here as soldiers Many men will pass this way ♪ノルマンディー上陸作戦の前後を当時の人々の証言を元に綴るノンフィクション作品。史上最大級の職業軍人達を率いるアイゼンハワーの苦悩、対するロンメルの後悔。印象に残るは、緑色のベレー帽を被ったイギリス特殊攻撃隊のバグパイプの音と、大胆不敵なリーダー達の叱咤する「この浜から動かないやつ二通りだ。死んだやつともうすぐ死ぬやつ」という声。映画ちゃんと見てみよう2014/12/30
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
49
1944年6月6日、後にD-Dayとして知られるノルマンディー上陸作戦。古今東西「天下分け目の戦い」は数あるが、これもまたその一つであり、第二次世界大戦の行方を決した戦い。5000以上の艦隊、20万人以上の兵隊。そこに参加した多くの人々にインタビューし丁寧に書き綴ったドキュメンタリーである。あまりにも多くの人々が描かれ、作戦全体を俯瞰するという意味では適していないが、実際にこの戦いに参加したすべての兵士はここに記されたように、全体の状況など知るはずもなく、ただ目の前の死を見つめていたのだろう。★★★+2015/10/24
Willie the Wildcat
46
”Longest”・・・、戦闘員と非戦闘員が”解放”されるまでの日々。連合軍上陸時の溺死、証拠隠滅のためのゲシュタポによる囚人虐殺、そして上陸に伴い喜んで投降するロシアやポーランド志願兵。戦争における死という現実と、心底の民族意識が印象的。本著の見所は、読み応えある「原注」!笑えない史実は、新聞のクロスワード・パズルと、特殊潜水艇X-23。偶然の重なりであったり、(ある意味)想定範囲内でもあるが、当人となればいい迷惑。一方のルーズベルト准将のど根性。片手に地図、片手に杖!部下も奮起せざるをえない。2016/02/03