内容説明
ジャスティンは、殺されたテッサの行動を追うことで事件の真相を解明しようとする。テッサが生前に接触していた人物を探すべく、イギリスやドイツに調査に向かうジャスティン。しかし、そんな彼にもテッサを殺した者たちの手が迫り…。アフリカに渦巻く多国籍企業の黒い思惑や政界と医薬品業界との癒着。テッサが遺した命がけの告発をジャスティンは公にできるのか。巨匠ル・カレが夫婦の愛を描いた傑作サスペンス長篇。
著者等紹介
ル・カレ,ジョン[ルカレ,ジョン] [le Carr´e,John]
1931年イギリスのドーセット州生まれ。オックスフォード大学卒業後、イートン校で教鞭をとる。東西冷戦期にイギリスの諜報機関MI5に入ったが、MI6に転属し、旧西ドイツのボンにイギリス大使館の二等書記官として赴任、その後ハンブルクの総領事館に勤務した。1961年に『死者にかかってきた電話』で小説家としてデビュー。2020年12月死去
加賀山卓朗[カガヤマタクロウ]
1962年生、東京大学法学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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stobe1904
19
【アフリカを舞台にしたジョン・ル・カレ長編】妻テッサの死の真相を追い始めるジャスティンは、製薬会社がアフリカを食い物にする不正な新薬の治験の実態に直面するが…。ジョン・ル・カレ作品なのできれいなハッピーエンドはないと思っていたが、このラストは重く、なんとも切ない。多国籍企業の陰謀と夫婦愛の物語をジョン・ル・カレが描くとこうなるのか、と深い余韻を抱きながら読み終えた。★★★★★2024/09/30
聖龍
8
下巻をようやく読み終えた。外交官である夫が、危険な目に遭いながらも、惨殺された妻が暴こうとしていた事実、大手製薬会社およびその関係者が第三世界を食い物にしていた事実に辿り着く。結末は意外で悲劇以外の何者でもなかったが、本作を夫の妻に対する愛の物語と捉えれば当然の結末か。読みづらさはあったが、面白かった。読みづらさの原因は、登場人物の意識が突然挿入されたり、登場人物間の会話や登場人物の思考が皮肉と冷笑に溢れていること、等にあると思う。不遜にも翻訳にもう少しの優しさを求めてしまう。原作で読めるようになりたい。2024/11/03
社員マスカット
3
読みづらかったが、壮大な印象を残してくれた。製薬多国籍企業の陰謀とも呼べるようなことが、どこまでが現実世界においての真実に近いのかわからなくなるくらい、非常にもっともらしいものだった。読みづらいなと思いながら読んでいたら、上巻のあれは何だったのか、とわからない部分があるので、時間を作って読み直したい。2024/12/22