出版社内容情報
第二次大戦中、酷寒の大西洋を舞台に、37隻
の輸送船団を守るために奮闘する駆逐艦キー
リングと、海の狼Uボートとの死闘を描く!
内容説明
寒風と波涛に抗い、北大西洋を航行する37隻の輸送船団。だが、その護衛艦隊指揮官、米海軍駆逐艦“キーリング”の艦長クラウス中佐に安寧の時はなかった。待ち受けるUボートの群に対し、味方の護衛艦はわずか4隻!物資を待つ同胞のため、なんとしても狼の群を蹴散らし英国に届けるのだ!トム・ハンクス脚本&主演で大型映画化された、ホーンブロワー・シリーズの巨匠が描く白熱の海戦小説、新訳版
著者等紹介
フォレスター,セシル・スコット[フォレスター,セシルスコット] [Forester,C.S.]
1899年カイロの生まれ。1966年没。海洋冒険小説の名手として名高いイギリスの小説家。ロンドンの大学で医学を学んだが、学位を取らずに中退し、文筆業に転向した。1932年、ハリウッドと契約し、以後39年まで、毎年13週間をアメリカで過ごす。第二次世界大戦が勃発するとイギリス情報省に入り、のちに海軍に従軍して海上生活を体験し、このときの体験と取材をもとにいくつもの海戦ものが生まれた
武藤陽生[ムトウヨウセイ]
英米文学・ゲーム翻訳家。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamatoshiuruhashi
49
帆船海洋小説の名作、ホーン・ブロワーの作家が描く現代戦(と言っても80年ほど前の時代だが)。群狼戦術をとるUボートを相手に船団護衛にあたる連合国(米英加波)の駆逐艦たち。その艦隊指揮官の艦長が主人公である。Uボートはもちろん護衛される船団も味方の駆逐艦隊ですらその描写はあくまで主人公が乗る旗艦から掴める様子だけ。そして未成熟なレーダー、ソナーを駆使しての戦い。それが緊迫感と臨場感を増す。さすがセシル・スコット。2021/02/27
syota
44
実に面白かった。これほど興奮したのは久しぶり。輸送船団の護衛という一見地味な仕事に、こんなにハラハラ・ドキドキさせられるとは。主役クラウス中佐の沈着で素早い判断と果敢な行動、寡黙で男気溢れる性格に魅せられてしまったが、実はこの特徴はフォレスターの代表作『海の男・ホーンブロワー』シリーズの主役ホーンブロワーと瓜二つ。帆船の英雄が生まれ変わって鋼鉄の駆逐艦を操っているかのようだ。若い頃シリーズ10冊を完読して”もう続編はないのか”と悲しんだ記憶があるが、こんなところに11冊目が隠れていた(笑)→2021/01/26
鐵太郎
23
新訳版キーリング、完読。翻訳者が変わると雰囲気が変わりますな。文章がこなれた感じがして、それはそれでいいのだけど、唯一文句を付けるとすると士官たちへのクラウス艦長の呼びかけ。「カーリングくん」はいただけないな。個人的な思いだけど、やはり今までの翻訳のように「ミスタ・カーリング」にしてほしいな。それはともかく、暗闇でかぶりついた卵サンドのカスを口の周り付けたクラウス、50時間近く艦橋に立って指揮を執り続けたアメリカ海軍中佐クラウスの姿を、もう一度読み直せて良かった。2020/06/06
リュウジ
13
★4 英国行きの輸送船37隻を護衛する軍艦4隻vsUボート5隻。原題「THE GOOD SHEPHERD(良き羊飼い)」。自分なら「艦長は眠れない」とつけたくなった(付け加えればトイレにも行けない)。3日間、Uボートは突然現れ、そこから0.1秒単位の手の読み合いの連続。しかもソナーはそれほど緻密でなく、爆雷も映画みたいに潜水艦に肉薄しない。士気のことまで考えて部下は休ませ、辛くとも自分を徹底的に律し戦う艦長。弾薬も精神も消耗戦。任務の終わりは戦死か、英国の地か。全編勇ましさはない。あるのは人の弱さと強さ。2024/06/28
hisa_NAO
11
海洋冒険小説の名作、ホーンブロワーシリーズの作者による、WWII海戦モノ。大西洋での護送船団対Uボートの、2日間に渡る手に汗握る戦闘。 駆逐艦キーリングの艦長クラウス中佐を主人公に、リーダーの責任感、苦悩と決断、プライベートのフラッシュバックを克明に描いています。トイレにも行けない緊迫感。流石、作者お得意のパターンが凝縮した1冊。 コーヒーとベーコンエッグが欲しくなります。2020/06/11