出版社内容情報
19世紀末ニューヨーク。悪辣なエジソンとの闘いに新米弁護士が挑む! 映画「イミテーション・ゲーム」脚本家による歴史サスペンス
内容説明
19世紀末のニューヨーク。発明王エジソンは、実業家ウェスティングハウスの製造する白熱電球に対し、特許権侵害訴訟を起こしていた。ウェスティングハウスに雇われた新進気鋭の弁護士ポールは、エジソンを嫌う天才発明家テスラを味方にする一方で、電球の特許の欠陥を暴こうとする。だがエジソン側は策略をめぐらしていた。火花を散らす頭脳戦の結末は?訴訟王の異名を持つエジソンとの闘いをスリリングに描く傑作長篇。
著者等紹介
ムーア,グレアム[ムーア,グレアム] [Moore,Graham]
2015年に日本公開されたベネディクト・カンバーバッチ主演映画『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』で、アカデミー賞の脚色賞を受賞した注目の脚本家。シカゴ生まれでニューヨーク育ち。コロンビア大学で宗教史を学んだ。2010年に『シャーロック・ホームズ殺人事件』(ハヤカワ・ミステリ文庫刊)で作家デビューを果たし、高い評価を得ている
唐木田みゆき[カラキダミユキ]
上智大学文学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のぶ
80
19世紀末を舞台にしたエジソンらの発明した白熱電球を中心にした科学物語だった。エジソンは、実業家ウェスティングハウスの製造する電球に対し、特許権侵害訴訟を起こしていた。同じ時代にエジソンのライバル、テスラという発明家がこれに絡む。ウェスティングハウスに雇われた新進気鋭の弁護士ポールは裁判に奔走する。ミステリー色は薄く、出たばかりの白熱電球の誕生の経緯を電流戦争として捉えている。物理的記載が多く、科学に興味がないと冗長に感じるかもしれない。ベルやレントゲンも登場して、話を盛り上げるサービスもあった。2019/07/17
goro@the_booby
56
エジソンvsウェスティングハウスの電流戦争の話なんだけどエジソンってこんな人物だったのかと伝記も読んだことないけど偉人は善人との刷り込みのお蔭か。史実を組み合わせていると知ってまた驚くわ。直流か交流か電力の覇権を争った内幕が分かって興味深い物語。闘い終わって途方に暮れるポールと自分を取り戻すアグネスの恋物語でもありました。2023/12/06
星落秋風五丈原
37
2020年5月米国General Electric Company=通称GEが、照明を含む消費者向け事業を売却。実はGeneral Electric社は、もともとEdisonGeneral Electric Companyだった。エジソンの発明で知られる電球事業が遂に他社に移管されることとなった。かつて電球を巡って熱い戦いを繰り広げた創業者エジソンは、この結果をどう思ってみているのだろう。“弱小弁護士事務所の若手弁護士が、海千山千の企業家エジソンに戦いを挑む”とまとめてしまうと、何だか半沢直樹的だ。2020/05/16
サケ太
23
極上の歴史系エンタメ。アメリカの歴史上で起こった『電流戦争』。発明王ならぬ“訴訟王”エジソンに目を付けられたのは、ジョージ・ウェスティングハウス。ウェスティングハウスの弁護士は若手のポール・クラバス。ポールの視点で描かれる『電流戦争』。多くの人々の思惑が交錯する。ただ歴史を描くだけではない、そこに物語を見出だされ、様々なジャンルを内包した作品となっている。テスラの天才的な奇人ぶりが面白い。最後のシーンは、爽快ささえあった。『何はさておき、準備は成功の鍵である。──アレクサンダー・グラハム・ベル』2020/07/13
hnzwd
18
電球を発明した発明王エジソンの真の姿は、ライバルを蹴落とすためにはどんな手でも使う悪役。直流電流で覇権を握るため、交流電流の発明者であるニコラ・テスラを狂人扱いし、普及を目指す陣営を相手取り、尋常じゃない数の訴訟を起こして攻めてくるという。。脚色も入ったフィクションとは理解しながらも、エジソンが悪いヤツとしか思えなくなってしまった。2023/04/04