出版社内容情報
休暇でパリに来た夫婦。しかし宿泊先のアパルトマンには何か不快な雰囲気がただよっていた……背筋の凍るホラーサスペンス登場!
S・L・グレイ[グレイ エス エル]
著・文・その他
奥村 章子[オクムラ アキコ]
翻訳
内容説明
その部屋には、何かがいた…。強盗事件のトラウマに苦しむ夫婦は、気分転換にパリ旅行を計画する。節約のため、泊まるのは現地の住人の家だ。しかし、到着してみると、待っていたのは、どことなく不潔で陰気な部屋だった。不安をおぼえつつも、パリでの滞在を楽しもうとする二人を、やがて異変が襲う。どこかから聞こえる子供の泣き声。警告する老女―はたして二人は生きて帰ることができるのか。戦慄のホラー登場!
著者等紹介
奥村章子[オクムラアキコ]
青山学院大学文学部英米文学科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nuit@積読消化中
115
ホラーとはいえ、それほどスプラッターな展開もなく、心理的な要素から心霊現象へと話が進むという個人的に好みな内容でした。この手の映画は最近結構多いように感じますが、活字で読めるのが本当に嬉しい。ハヤカワさん、昔のモダンホラーセレクションを復活させて欲しいなぁ。2018/05/16
HANA
76
旅行の間、家を交換するハウススワッピング。しかし交換した先の家の中には……。題名からわかる通り幽霊屋敷モノだけど、特に心霊現象などが起きるわけではない。ただほんの少しだけボタンがかけ違えられているような居心地の悪さが積み重なっていくような作品。妻と夫、交互の視点から物語が語られていくが、これが信頼できない語り手なので怪異に関しては、某有名怪談を思い出させる造りとなっている。派手な動きこそなかったものの、ラストは日本の某ホラーを連想させて後味の悪さも折り紙付き。あと幽霊屋敷の一番の問題は経済問題だなと。2018/08/16
ちょろこ
70
たしかに映画向きのサイコスリラーの一冊。強盗に入られた夫婦、そのせいで夫婦仲はギクシャク。そこで気分転換にパリ旅行を計画したはいいが…。これは最初からジメジメ不潔さと怖さに襲われた。自分だったらこの時点で引き返すレベル。次々と恐怖に襲われるシーンはもちろん、夫婦の気持ちのすれ違い、更に深まる溝といい語り手が交互の心理描写が上手く、ぐいぐい読ませる。そして迎える結末…ぞっとくるのがたまらない。これはたしかに映画向けストーリーだと思った。日本でリメイクしたらもっと怖く仕上がりそう。2018/04/24
眠る山猫屋
63
翻訳者の技量のおかげか、読み易くストーリーに浸れた。主人公は南アフリカに住むマークとステファニーの歳の差夫婦。善良な二人だが強盗に押し入られたトラウマからパリに住むプティ夫妻とのハウススワッピング(お互いの家を交換しての旅行)を行う・・・が、パリのアパートはとんでもない魔所だった。マークの壊れていく現在と、ステファニーの過去形の語りが交互に続く。ロバート・ダウニーJr.に似たマークが喪われた過去に苛まれ、且つパリ旅行中の二人に振りかかる災難たるや・・・『残穢』並みの呪いか!?となる。→2021/04/22
白のヒメ
53
なんともぞわぞわする読後。キングの「シャイニング」ほどハラハラドキドキはしないものの、その不気味さというのはのしかかってくるような重量がある。ハウススワップという家を取り換えてバカンスを楽しむというサイトに登録をして、南アフリカの家とフランスのパリのアパートを数日間交換することにした主人公夫婦。嫌な思い出を消すための気分転換になるはずが、とんでもない体験をする事になる。そしてそれは、南アフリカの家に逃げ戻ってもついて回るのだった・・・。スピルバーグが映画権を取得しているという。納得なオカルトサスペンスだ。2018/07/16