内容説明
「父が死んだわ。父が死んだのはこれで二度目よ」かつて敵国の首都に長期潜入していた元スパイのレイチェルが、この言葉だけを残して失踪した。モサド本部はパニックに陥る。機密情報を知る彼女を連れ戻さなければならない。だが今は引退した工作担当者のエフードにもレイチェルの意図はまったく不明だった。彼女の真実はどこにあるのか?元・イスラエル国防軍情報部隊准将の著者が生々しく描き出す現代スパイ戦の内幕。
著者等紹介
アティル,エフタ・ライチャー[アティル,エフタライチャー] [Atir,Yiftach Reicher]
1949年イスラエル南部のキブツ生まれ。イスラエル国防軍の青年将校として1976年のエンテベ作戦に参加したのをはじめとして、さまざまな秘密作戦に従事し、1995年に准将で退役した。その後、これまでに4作の小説を刊行しており、3作目の『潜入―モサド・エージェント』は、情報将校としての経験に裏打ちされた筆致で、イスラエルで読者や批評家に高く評価されてベストセラーとなり、英国をはじめ広く海外で翻訳されている
山中朝晶[ヤマナカトモアキ]
1970年北海道生。東京外国語大学外国語学部卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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woo
11
展開に対する期待感が持続するので悪くはないんだけど、爽快感は全くないなぁ^^;; 好みが分かれる作者です。2018/01/01
ごんちゃん
6
モサドの元情報将校が書いたスパイ小説で、イスラエルではベストセラーになったとか。ってことで、真実味があるんだか、ないんだか、うーーーん。かの国の検閲であちこち削られて変更を余儀なくされたらしいので、なんか全体的に微妙かも。女スパイが敵地で知り合った男性と恋に堕ちるってのは、ホンマにあるんかいな?それは映画とか小説の中の話ちゃうの?いや、これも小説なんだけどさ。CIAとは趣きが違うお国柄が垣間見えて、興味深かったです。2023/05/21
かんとり
4
「モサド」「潜入」、このタイトルには惹かれましたね~、駄菓子菓子! 敵地アラブへ身分を偽り潜入、一般人としての生活、任務はこなすも、恋愛に苦悩・・・ そして回想シーンの心理描写で、ほぼ全ページ割かれた時には、 もうこれ「結」に期待するしかページはめくれない・・・ 笑 残念^^ 2018/11/09
FKtaro
4
モサドと言えば説明不要のイスラエルが誇る世界最強の諜報機関。そんなモサド出身の著者が綴るスパイ物です。なんでも本国による厳しい検閲があったそうな。007的なイカした小道具や、派手なアクションは皆無です。ただひたすらに重苦しい。自分を偽って他国に潜入するという重圧と孤独のリアル。そして国家の重要気密を知っているが故に、任務から退いてすら安息の日は訪れない逼塞感。それに苦悩する女性スパイが綿密に書かれてます。地味といえば地味だけど、それだけにこんな人がもしかしたら学校や職場にいたりするのかなと思ったり。2018/01/24
コージ
2
「モサドの女」の悲しい物語だった。これが「真実の小説」だとしたら主人公の女性スパイは悲し過ぎる。45歳にもなって15年前に敵国で知り合った男性、しかも利用し裏切った男性とよりを戻せると思うところが悲し過ぎる。彼女の工作担当官も最初から愛していた。45歳の彼女にも現在65歳にもなった元工作担当官が愛していると言うところが情けない。読み終えて腹が立ったのは物語にのめり込んだ証拠で、その意味では素晴らしい作品だったのかもしれない。2020/04/22