出版社内容情報
英国領で極秘に行われた対テロ作戦。国家の大義のもとに隠蔽された恐るべき真実とは?
ジョン・ル・カレ[ルカレ ジョン]
加賀山 卓朗[カガヤマ タクロウ]
内容説明
極秘の対テロ作戦に参加することになったベテラン外務省職員。新任大臣の命令だが、不審な点は尽きない。やがて、作戦は成功したとだけ告げられ、任を解かれる。一方、大臣の秘書官トビー・ベルは上司の行動を監視していた。作戦の背後に怪しい民間防衛企業の影がちらついていたのだ。だが、トビーの調査には官僚たちの厚い壁が立ちはだかる。恐るべきは、テロリストか、それとも国家か?巨匠が描く、世界の新たな闇。
著者等紹介
ル・カレ,ジョン[ルカレ,ジョン] [le Carr´e,John]
1931年イギリスのドーセット州生まれ。英国情報部に所属し、旧西ドイツのボンにイギリス大使館の二等書記館として赴任。さらにハンブルクで領事を務めた。1961年に小説家デビュー。63年の『寒い国から帰ってきたスパイ』で世界的な評価を受け、70年代に発表された『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』、『スクールボーイ閣下』、『スマイリーと仲間たち』の三部作はスパイ小説の傑作といわれている。冷戦終結以降も精力的に執筆をつづけ、21世紀に入ると、作品が続々と映像化される
加賀山卓朗[カガヤマタクロウ]
1962年生、東京大学法学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
92
今回ル・カレが我々に見せる“繊細な真実”とは何なのか?それは現役大臣による、侵攻作戦〈ワイルドライフ作戦〉は本当に正義のための作戦だったのか、だ。これだけあらゆる機関や人物が隠したかった〈ワイルドライフ作戦〉を正確に表現すれば政府にとっては「不都合な真実」だが、それを「繊細な真実」と表現したのはル・カレの配慮ゆえか。即ち黒に近いグレーを中間のグレーにまで薄めたのだ。「私が知っていようが、きみが知っていようが、どうでもいいことだ。問題は世間が知っているかどうか、知るべきかどうか」これが全てを物語っている。2024/09/14
NAO
57
きな臭い噂の絶えない大臣クインによくわからない極秘任務を命じられた外交官とクインの秘書が、クインの言動に疑問を感じ、調べ始める。 クインが極秘に命じた作戦とは、いったい何だったのか。政治家が癒着している闇の企業とは?そして、それを隠蔽しようとする官僚たちの分厚く黒い壁。私腹を肥やす者と、使い捨てにされる者。結局、政治家たちは、自分のことしか考えていないのだろう。2022/05/19
k5
48
ル・カレにしては読みやすい、登場人物が状況をちゃんと説明してくれるのはその通りなのですが、これでリーダビリティ高いと言われると。。。しかしこのエモくないカッコ良さが癖になります。ジェブと奥さんが好きだな。2024/01/30
nabe
7
初めの作戦実行場面はこれまでのル・カレと違い、活劇風で以外だった。相変わらず前半は何が繋がるのか判らないものの、主な話は"事件"から3年の間なので、過去の著者の作品に比べると時系列が前後してもまだ読みやすかった。ラストは、何とも苦い結末を想像させられて終わってしまった。2016/10/15
かんとり
6
ル・カレを堪能するには、まだまだ読解力が足りなすぎ… 現在過去未来視点転換を逃さぬよう、文章をしっかり追わねば理解が飛んでしまう。 手強いですな、大御所。 そしてテロリスト捕縛作戦。外務官僚がなぜか作戦に組み込まれ… そこから始まる真偽の謎解き。 つたない脳ミソでも少しは楽しめましたな。2022/06/30