内容説明
アメリカの裏切りでニコライは深手を負うが、ソ連寄りの政策に反対する中国の一派に命を救われる。彼らは独立闘争を展開するヴェトミンに勝利させ、アメリカのヴェトナム進出を断念させて米中を接近させようとしていた。ニコライはヴェトミンに強力な武器を売り渡す代償として新たな身分を彼らに要求し、動乱のヴェトナムに向かう。孤高の暗殺者ニコライ・ヘルの若き日の壮絶な闘い。冒険小説の名作『シブミ』の世界が甦る。
著者等紹介
ウィンズロウ,ドン[ウィンズロウ,ドン][Winslow,Don]
ニューヨーク市に生まれ、ロードアイランド州サウス・キングスタウンで育つ。俳優、舞台演出家、映画館の支配人、サファリ・ガイド、私立探偵など、さまざまな職業に就いた。『ストリート・キッズ』(1991年。『このミステリーがすごい!』海外編第2位)に始まる探偵ニール・ケアリー・シリーズや『犬の力』(2005年。同第1位)、『フランキー・マシーンの冬』(2006年。同第4位)などの作品を生み出し、日本でも圧倒的な人気を誇っている
黒原敏行[クロハラトシユキ]
1957年生、東京大学法学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Tetchy
34
東洋文化を織り交ぜ、日本、中国、ヴェトナムへと舞台を展開し、スパイ小説のみならず冒険小説のスリルも味わうことの出来るエンタテインメントのごった煮のような贅沢な作品だが、一つ納得できないのは本書の題名にもなっているサトリの内容。私には本書における「悟り」と日蓮や親鸞ら高僧たちが得たそれとは意味合いが違うように感じた。とはいえ34年も前の作品を前日譚を描いて見事甦らせた作者の功績は大きい。今後『シブミ』と同様に本書も長らく書店の棚に並び、誰もがニコライ・ヘルの世界に浸れるようになるよう、望んで止まない。2013/01/06
ずっきん
25
上巻はスパイ小説、下巻は冒険活劇。はぁ、贅沢でした♪著者が見てきたかのように綴られる1950年代の東京、北京、退廃的な美しさのサイゴンの情景の中、まだ青臭いニッコが走る走る。切り抜けるのはわかっちゃいるけど、息もつかせぬ展開続き過ぎて、幾度も息が止まりそうになったよ!コブラとの勝負では叫びそうになったよ!明け方だよ!家族起きちゃうよ!ストイックな主人公の周囲にはもちろんウィンズロウらしく魅力溢れすぎキャラが満載。特にル・ヴァン・ビィエンはおばちゃんの真っ向からど真ん中キター。さ、シブミもっかいいくか。2017/11/01
Dai(ダイ)
18
暗殺者の物語りにしては、ハデなドンパチが多かった。囲碁の戦略になぞらえて展開するためか陰謀や騙しあいが多く分かりづらいシーンもしばしば。エンディングは尻すぼみの感もあるが、ここからシブミに繋がるのならやむを得ないか。もう一度シブミを読み返したくなった。最後にコブラの派手な活躍が見たかった。2016/12/07
Masa
11
読了。いやぁ、面白かった! こういう冒険小説、大好きです。読後の満足感も◎。心地よい満腹感。次に読むべき本はだいぶ迷いました(だって、こんなに面白い物語のあとに、どんな物語を読めばいいんです?)。ただ、読み終えて、語るべきことがないということに気が付きました。これは、良い意味で。語る必要あるのかしら? と。言葉は不要という感じです。あの満足感だけで、十分です。さ、『シブミ』も読まなければなりませんね!2017/08/09
chiseiok
11
非常に浅薄な意見wですが、『仏陀の鏡への道 』と『ボビーZの気怠く優雅な人生』を足して『犬の力』エキスを増量、主人公と時代背景はトレヴェニアン様よりお借りして…といったところ。何が云いたいかというと(笑)、超面白かった!って事です。解説で次郎さんが仰る通り、ストーリーはシンプルかもしれませんが、脇役のキャラの立て方が複雑で魅力的で、こういうところ本当にウィンズロウは上手いな~と感じました。まず無いんでしょうが、別エピソードで続編書いてほしい…(笑)。2013/03/15