内容説明
長いあいだ、友人としての付き合いをつづけてきたエマとデクスター。しかし、TV番組の司会者として成功したデクスターは、酒とドラッグにおぼれ、人生を見失っていく。一方、努力を重ねて教師となったエマには、重大な転機が訪れようとしていた―。それぞれ恋人を作りつつも、どうしても互いが気になってしまう二人の、不器用でいとおしい二十年間のラブストーリー。英米でベストセラーになった感動作がついに刊行。
著者等紹介
ニコルズ,デイヴィッド[ニコルズ,デイヴィッド][Nicholls,David]
1966年、イギリス南部のハンプシャー州イーストレイに生まれる。ブリストル大学で英文学と演劇、アメリカン・ミュージカル&ドラマティック・アカデミーで演技を学ぶ。俳優としての活動を経て、リサーチ係兼脚本編集係として働きはじめる。映画「背信の行方」の脚本を監督マシュー・ウォーカスと共同執筆したことがきっかけで、テレビドラマや映画の脚本を手がけるようになる。2003年に初の小説Starter for Tenを発表
川副智子[カワゾエトモコ]
早稲田大学文学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
絹恵
24
本当はきっと、友人だと思ったことなどなかったのかもしれない、或いは友人という永遠を貫けば良かったのだろうかと考えずにはいられません。何度もすれ違いの後悔があったけれど、自分を貫いた先にしかあなたに伝えたい想いはないのだと思います。すれ違うたびに彼を見つめて自身を見失う彼女、すれ違えることの幸福を見つけた彼、そんな堅物女と駄目男の真実だけのラブストーリーでした。2014/06/21
ハルト
8
聖スウィジンの日に始まった二人の関係。多くの出来事があり、たくさんの人と出会い別れ、すれ違っていながらようやく結ばれた二人。二十年間、彼らは共にいた。関係が変わり、疎遠になったりもしながらも、互いに互いしかいなかった。彼にとって彼女にとって、たった一人のかけがえのない人。どういう関係でもいいからそばにいてほしいと思える人がいることが羨ましいなと思いました。でもまさか、こういう結末だとは。想定外だったのでひどくびっくり。どこまでも続いていく日々。一日がそのすべて。そこにすべてがある。切ない。2012/07/05
万博
6
上巻の感想はあんなふうでしたが、やはり下巻に真意あり。最後まで読んで初めて「ワン・デイ」を切り取った意味も分かったし、その奥深さもしみじみと感じました。(なんで上下巻にしたんだ!)相変わらずなふたりがやっとたどり着いた、ひとつの答えの先にあったのは…。その呆気なさがよけい胸に迫る。思い出の美しさは反則(涙)。人生のとある一日が、良い意味でも悪い意味でも特別な一日になる。どんなに特別な一日も、長い人生のとある一日。最良の日も最悪の日もあり、何も無い日もある。日々は続く。1年前の今日、私は何をしていただろう。2012/07/02
たみき/FLUFFY
6
下巻から、エマとデクスターの状況がなんとなく入れ替わっていく。共通の友人の結婚式で、デクスターから直接手渡しで結婚式の招待状を受け取るエマの気持ちを思うと切ない。どこまでも自分に弱いデクスターが何もかも失って辿り着くのはエマ。そんな二人が双方の想いをやっと実らせた後にやってくる悲劇。3部までずっと同じ形式で綴られていたけれど4部は過去へ戻っていくこともある。そうして最後に読み手の前に登場するのは、あの最初の7月15日。ダメ男なデクスターがどんなにエマを愛していたか。実に最後まで読んで良かったと思えた作品。2012/06/22
プチライス
3
「ぼくが少しばかり……嫌なやつだった」三十代はさらに頁が進まず。「最悪の悲劇ですら、将来のどこかの時点で逸話となる」としても、<そこにいるのかい、モリアーティ?>とかいう室内ゲームの件は読むに堪えない。「四十歳になってもまだわたしがひとりだったら、結婚してやる」という、言った本人さえ覚えていない申し出。親友を取り戻し、友達に戻り、「やっとあなたから逃れられると思った」末の中年期の安定。「今いる友達は五年後も十年後も二十年後もずっと友達だろう(略)幸せすぎないことが幸せ」その瞬間。7月15日は続く。2016/09/14