内容説明
ドッグ・レスキューとして虐げられた犬の救護に情熱を傾けるエイミーは、その夜、恋人のブライアンとともに不思議なゴールデン・レトリーバーを助けた。同じ夜、ある邪悪な男女が、長年追い続けた獲物を捕える罠をついに完成させようとしていた。因縁で結ばれた二組の男女の運命の岐路に、突如現われた黄金の犬が起こす奇跡とは?人の悪意がもたらす恐怖と犬への深い愛が織りなす、サスペンスフル・ドッグ・ストーリー。
著者等紹介
クーンツ,ディーン[クーンツ,ディーン][Koontz,Dean]
1945年ペンシルヴェニア州に生まれる。子供のころから小説を書き始め、大学を卒業後、数々のアルバイトをしながら小説家をめざした。1968年、長篇第一作となるSF、Star Questを出版。以後、SF、ゴシック・ロマンス、サスペンス小説などをさまざまなペンネームで次々と書き上げた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Sakie
11
昔読んでいた頃のクーンツは、善悪観がくっきりと宗教性に結びついていたと記憶している。久しぶりに読んだこの物語はそこまで宗教性が強くない代わりに、小さいけれど、幼くまた無垢なる故に強く輝く光が際立つ。大人は彼らを守り、憧れ、慈しみ、だから希望をもって生きていけるのだと、クーンツは言っているようだ。そうか、だから灯台なのだ。魅力的な犬たち、傷を負わされた彼らもまた、心ある手当に癒され、魂のままに草原を駆けられますように。2016/11/05
Tetchy
6
エピソードを幾層にも積み重ねる語り口から、最初にこのプロットありきとは感じられず、筆の赴くままに物語を書いていった結果、こうなったという印象が強い。本書の題名は原題そのまま。この「一年でいちばん暗い夕暮れ」とは実は登場人物たちが抱える闇を指しているのではなく、クーンツが経験した愛犬を喪ったその日の夕暮れを指しているのではないか。消化不良感がどうしても残る作品だが、愛犬を亡くしたクーンツを思うと、これは彼が哀しみを乗越えるのに書かねばならなかった作品だと好意的に解釈すれば、それもまた許せるというものだ。2010/05/13
白のヒメ
4
他の読者のレビューを読んでも、確かに疑問点が残る。一番の疑問は、何故、ホープを父親が母親に10年託したままだったのか。曖昧なまま物語は進む。ただ、クーンツのジェットコースターみたいな物語の根底にいつもひそんでいる、人間の悪と善との葛藤は、この中でも鮮やかに描かれていた。極悪な男女と善の男女。そしてダウン症の子供と犬。子供と犬は人間の神性を表現しているのだろう。クーンツの物語は結局どんな悲惨な描写をしていても、根底に人間の性善説を信じているところがあるから大好きなのだ。2013/02/19
おおやなぎまさひこ
4
この倍の分量で、魅力的な登場人物たちを充分活躍させてあげたらもっともっと面白かったのにと思う。特にラストが駆け足すぎてわけがわからん^_^; テレサは伏線なのかと思ったら導入部だけだし、ホープの聡い子っぷりも堪能できん。もっとヴァネッサの魔的な美女っぷりも読みたかったなぁ。最後はハッピーエンドと決まってるわけですが、ニッキーの謎も、夢オチに告ぐいかんオチだと思います。中盤まで面白かっただけに惜しい。犬賛歌は存分にやって頂いて構わないので、もっと面白い小説を読ませて下さい・・・。2010/03/02
杏
3
めちゃくちゃ久しぶりのクーンツ。昔よりさらにホラーからファンタジー寄りになってきたような。 一番驚いたのは、この本を書く晩年の頃になって初めてゴールデンと暮らし始めた…っていうことかな。ウオッチャーズの時にはまだだったのか!という。 ハピエンのクーンツだけど、それにしてもちょっと導入が長くていわゆるバトルがあっという間に解決して、初期作の方が読み応え的には好きかな…2020/08/30