内容説明
囚われのボストンから脱出したオーブリーとマチュリンは、ハリファックスで熱烈な歓迎を受けた。彼らが便乗した英国艦シャノン号が、アメリカ艦チェサピーク号を破って久々に英国軍勝利の報せをもたらしたからだった。英国へと幸せな帰還を果たした二人だが、やがて彼らに、ナポレオン軍を叩くのに不可欠な要塞島の攻略という密命が下った。オーブリーはスループ艦の艦長としてマチュリンとともにバルト海へ向け出航する。
著者等紹介
オブライアン,パトリック[オブライアン,パトリック][O’Brian,Patrick]
本名パトリック・ラス。1914年、イングランド生まれ。その後フランスに移り住む。30年から作品を発表するが、オブライアン名義では52年のTestimoniesが最初となる。その後70年に『新鋭艦長、戦乱の海へ』で『英国海軍の雄ジャック・オーブリー』シリーズの執筆を開始し、全20巻で完結させた。ほかにも、伝記などを執筆し、小説家、伝記作家として知られる。95年には長年の文学への貢献が認められ、ヘイウッド・ヒル賞の初代受賞者となったほか、97年にダブリン大学トリニティ・カレッジより名誉文学博士号を授与された。2000年没
高沢次郎[タカザワジロウ]
1946年生、1969年東京外国語大学英米語学科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Hotspur
2
シリーズ第7作。原題は "The Surgeon's Mate"。本作は前作を更に引き継いで三部作になっている。ハリファックスで英国艦シャノン号は大歓迎されるも、オーブリーとマチューリンの心は晴れない。ダイアナを含めた三人は郵便船で英国に帰国する。「(オーブリーは)年齢について、死と腐敗について、変容について、老衰について、堕落について、考えずにはおれず・・・」(242)。マチューリンはダイアナについて思い悩みつつ諜報活動に戻り、それがバルト海を扼するグリムズホルム島攻略の任務に繋がる。終盤でやっと出撃。2022/12/07