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ハヤカワ文庫
ポセイドン〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 298p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784150411176
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

元スポーツ選手の牧師、刑事とその妻、会社の副社長一家、ダンサー、銀行員などなど職業も年齢もさまざまなグループ。彼らは時に反目し合い、時に協力し合って上部を目指す。しかし、破壊された船内での脱出路の確保は困難を極めた。鳴動を繰り返す船が沈没しないという保証はない。そもそも救助隊は本当に来るのか…生存者が抱えるそれぞれの人生、襲いかかる運命の明暗。極限状態で繰り広げられる感動の人間ドラマ。

著者等紹介

高津幸枝[タカツユキエ]
国際基督教大学教養学部社会科学科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

セウテス

61
新訳版下巻。映画では助かろうと努力する者たちの為に、次の道を開く為に、尊い犠牲は生まれてしまう。それでも人の命を救えた事に、人生の終焉は安らかである。そして苦難を乗り越えて助かった者たちにだけ、暖かな光がさすのだ。しかし本作は違う、苦労して助かった彼らの前に、別のルートで比較的簡単に助かったグループが存在する。また助かった後にも幾つかのしこりが残こり、我々の苦労は何だったのか、牧師の独りよがりだったのでは、という繊細な心理の描写になる。この世界は不条理である、しかしそれを踏まえて前に進むべきだと言う事か。2017/09/18

TSUBASA

16
水に浸かった部屋を抜けて地獄の機関室を登り、天井にある船底を目指す一行。その間で各人のエゴや諦念、嫉妬が渦巻く。良く言えば人間描写が細かいけども、登場人物が多くてキャラは被ってるし、みんなあーだこーだ文句を言って身勝手なのでテンポが悪い。絶体絶命の状態でパニックになるのはわかるけどみんな座して死を待ちたいもんかね?また、地球上で唯一理に適った形で実現できる逆さまの世界というのが転覆した船だと思うんだけど、文章としてはわかりにくい。やはりそれらをうまく見せた72年の映画は傑作だったのだと実感する。2020/08/15

ryuetto

7
これは素晴らしかった! 文句なく、非常に面白かった。特に、ラストの落ちが秀逸。 ああ、でも、人間って、そういうものかもしれないなと、人の運命ってそういうものかもしれないな、と、世の中の残酷さと理不尽さを、容赦なく突き付けてきたところに感動しました。 人の世の容赦なさをこれでもかと突き付けて、それでも生きていかなきゃならない我々は、今までどんなに守られた場所にいたのかと、スーザンと一緒に思い知らなければならない。そういうところがよかったと思います。傑作でした。2019/07/07

topo

4
傑作海洋パニック映画の原作。 映画がアクションメインでサブとして群像劇に対し、原作は群像劇メインでアクションがサブなのがより面白い。 極限状態下での人間ドラマがより生々しく描かれ、個性溢れる脱出組各人の仔細な心理描写との相乗効果で読み応え抜群。 映画(1972年)とは全然違うラストに驚いた。あの登場人物が!?って。原作と映画でラストが違うと悶々することがあるけど本作はどちらも素晴らしい。深みがあるのは原作かもだけど、映画も好き。 2006年版は、あれはあれで面白いけど人物設定は原作に忠実でいてほしかったな2022/05/30

ネムル

4
どう見てもハリウッド流パニックサスペンスですよという映画装丁なのだが、中身はむちゃくちゃビターで、やっぱりギャリコ。海底地震で転倒した豪華客船から脱出するため船底へ登ってゆくという倒錯した設定が、後半でものすごい不気味な様相を見せてくる。脱出メンバーの協力と反目が大団円に向かうでなく、最終目的地に着いた後、そして救助されてからも不条理、罪と罰、神についての論争と暴露話、ギスギスした関係が続く。事件のドサクサでレイプされた女の子がある種の開き直りと祈りを見せるラストは、重たいながらもイヤな感じではない2013/07/07

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