内容説明
郊外の高級住宅地ステップフォードは美しく平和な町だった。だが主婦たちはみな家事にしか興味のないおとなしい女性ばかり。越してきたばかりのジョアンナは、そんな主婦にはなりたくなくて、最近越してきた活動的な主婦たちと友だちになった。しかしその友だちも、一人また一人と別人のように家事に励み始める。彼女たちにいったい何が？次は自分の番だと気づいたジョアンナは…ニコール・キッドマン主演映画の原作。
著者等紹介
レヴィン，アイラ［レヴィン，アイラ］［Ｌｅｖｉｎ，Ｉｒａ］
１９２９年ニューヨーク生まれで、現在も同市に在住。弱冠２４歳の時に発表したデビュー作『死の接吻』は大きな反響を呼び、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞を受賞した。その後の作品もことごとくが世界的なベストセラーとなる。また、小説ばかりでなく、劇作や作詞でも高い評価を受けている。２００３年、アメリカ探偵作家クラブ賞の巨匠賞を受賞した
平尾圭吾［ヒラオケイゴ］
慶応義塾大学文学部卒、翻訳家、エッセイスト
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感想・レビュー
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hit4papa
54
ウーマンリブ（死語）全盛期の1972年（発表時）を背景とした、奇妙な物語です。テップフォードに越してきた、ウォルターとジョアンナのエバハート夫妻。活動的な女性ジョアンナは、ステップフォードに住む主婦が、家事にしか興味がないことに違和感を覚えます。本作品は、この頃の世相がわかってないと、世界観がチンプンカンプンかもしれませんね。殊更に女性の権利を主張し過ぎる自体が、奇妙に映ります。ステップフォードに暮らす妻たちには、著者を含めた当時の男性の願望を反映したものと見るべきでしょう。そういう意味では御伽噺的です。2020/12/06
Ribes triste
16
郊外の住宅街ステップフォードに家族で引っ越してきたジョアンナ。しかし、この街の自治は男性協会が握っていて、ご近所の奥さま達は家に引きこもり、家事に勤しみ、自分の意見を言わない。夫の好みに自分を磨き上げる。まるで洗剤の広告の奥さんのよう。運良く自分と共感したボビィと友人になるが…。日常生活にひたひたと忍び寄る不穏な空気が怖い。2023/01/10
bapaksejahtera
13
郊外の中流白人給与生活者のコミュニティーに都会を逃れて移り住んだ一家。女性の自立目指す妻はこの地域が貞淑で家庭に忠誠を励む妻たちばかりであり、移り住んだ女性たちは4ヶ月を過ぎると一様に理想的主婦に変態する。主人公の主婦はそれに気づく。しかし彼女もその時期が過ぎると..。70年代初期のウーマンリブを皮肉る作品である。我が国でもそんな運動があったが、現代社会になり初めて大量の無職無収入女性が発生した。今やそうした時代も変わりつつあり、そこには新たなジェンダー問題が生じている。その意味で過去の記念碑的作品だろう2022/08/06
shizuka_電気うさぎ
13
軽いスリラーと思ったら大間違い。ぞっとするお話だ。なぜなら今の日本の現状がこのお話を「たかが小説」と笑ってやり過ごせないから。「女性が輝く」と謳いながら、女性に、仕事、結婚、出産、育児のすべてに頑張り続けることを（なんの助けもせず）期待ばかりする社会。女性という性であるだけで、試験の点数もこっそり引かれて、目指す職業につくことを妨害される社会。男にとって気にくわない女はどうなるか？2020/06/10
空の落下地点。
4
原作を越える映画化は存在しないとはよく言われることですが、この作品は映画が健闘してると思います。機械の上に立ったジョアンナの表情が名シーン！愛しかない。原作では、女性クラブに関する記事が掲載された新聞紙に刷毛が包まっていたというのが象徴的で素晴らしかった。塗り直すことは改革を意味する。でも、映画を観た後での原作の味気なさは、時をかける少女のそれに匹敵しちゃう。あちらは短編ですけど。離婚したり、何らかの罪に問うたりしないところまで描いてほしかった。この歳になるまでこの物語を知らずに生きてきたことが悔しい。2019/04/20
