内容説明
二十歳の青年トマス・キッドは強制徴募され、英国海軍戦列艦の乗員となる。海軍での新たな一歩を踏みだした彼は次第に海の男として成長していった。やがて彼の乗る艦は一路フランスを目指す。目的はブルターニュでの王党派の反乱を支援するためだった…新米水兵から提督へと昇りつめる男の波瀾に満ちた物語。海洋冒険小説の新シリーズ、いよいよ開幕。
著者等紹介
大森洋子[オオモリヨウコ]
横浜市立大学英文科卒、英米文学翻訳家
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感想・レビュー
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tosca
28
時代は18世紀、英国海軍に強制徴募されたカツラ職人の若者トマス・キッド。強制徴募とは有無を言わさず突然軍艦に連れ去られ給料も無しに劣悪な環境で働かされる奴隷のような酷い制度。拉致されて強制労働させられ、理不尽な理由でムチ打たれ、逃げると犯罪者になるという無茶苦茶な世界で自分の居場所を掴んでいくキッドの成長物語。エリート士官でない下っ端から最終的には提督になるという全9巻、読めるかな。帆船の構造も各部の名称もよく分からないので、帆船の模型があればもっとイメージが掴めるのだけど…、とにかく海洋冒険小説は楽しい2024/11/12
J・P・フリーマン
6
強制徴募によって、無理やり水兵にされたトマス・キッド。最初は自分の運命を呪っていた彼だが、先輩水兵の助言や目の前に広がる広大な世界に触発されて、やがて海の男になる決意をする。悪戦苦闘するキッドにフォーカスを当てつつ、帆船戦艦の構造やそこでの生活を細かく描写しており、読み手を物語のなかへのぐいぐい引き込んでくれます。ただ言葉だけではわかりずらいところもあり、わたしは『輪切り図 帆船軍艦』という図鑑を見ながら読み進めました。2022/05/22
ゆずこまめ
4
強制徴募って…イギリス海軍すごいことするなぁ。いつまでも下を向いてないでマストを登り始めるキッド、かっこいいね。読んでて応援したくなる。きっと船の仲間も同じじゃないかな。2016/03/28
チャゲシン
2
強制徴募(酒場で飲んでたら誘拐同然に連れ去られて軍艦の水兵にされて、しかも脱走したら死ぬまで鞭打ち)でイギリス海軍の水兵になってしまったカツラ職人の若者が、天性の素質に目覚め、軍艦乗りとして成長し、やがては提督にまで昇進する海洋冒険小説の第一巻。まったくの素人が海に出て行くのを先輩たちに教わりながら話がすすんでいくので、読んでいる方も、なるほど、そういうことだったのか、と帆船の世界がわかります。最も面白いネルソン提督時代のイギリス海軍小説のひとつです。2013/09/04
彩也
2
海洋冒険小説の主人公は将校級が通常。指示さえ出せば、キャプスタンが巻き上がり、帆は自在に広がり畳まれる。という、これまでのセオリーを覆した。主人公は強制徴募で無理矢理引っ張ってこられた青年。帆船は人間の肉体で操作するものだ!とばかりに、これまで簡単に触れられるだけだった作業が、人間の過酷な労働と危険の上に成り立っていたことを描写する(展帆のミスで人が死ぬ世界だ)。新鮮。主人公キッドは提督にまで出世する予定らしいが、実際にネルソン時代水兵から提督に這い上がった人間は3人いる、という。2013/04/17
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