内容説明
元軍人の画家チェイスは、武器商人の妻シェンナの肖像画を描くため、荒野に建つ武器工場をかねた邸に招かれた。武器商人の三人の前妻がみな肖像画の完成後に不審な死を遂げていることを知り、チェイスはシェンナを救う決心を固めていた。画を描くうちに二人は心を通わせ、非情かつ危険な夫からの脱出を謀る。ヘリコプターを奪い逃亡した二人に、武器商人の執拗な追手が迫る。情熱的な愛とアクションにみちた傑作冒険小説。
著者等紹介
マレル,デイヴィッド[Morrell,David]
1943年カナダのオンタリオ州生まれ。ペンシルヴェニア大学でアメリカ文学を専攻し博士号を取得。アイオワ大学で教鞭をとるが、そのとき発表した処女作『一人だけの軍隊』(1972年)が映画「ランボー」の原作となり、一躍ベストセラー作家となった。その後も冒険小説の傑作を発表し続けるが、1987年に愛息を病気で亡くしたときの悲痛な体験をもとに書いた『蛍』がキング、ヴァクスらから惜しみない賞賛を受ける。『赤い砂塵』は2000年に発表され、書評子に絶賛された。ピアース・ブロスナンがMGMで映画化を予定している
山本光伸[ヤマモトミツノブ]
1941年生、国際基督教大学歴史科卒、英米文学翻訳家。訳書に『夜と霧の盟約』『テロリストの誓約』マレル、『ファイアフォックス・ダウン』トーマス、(以上早川書房刊)他多数
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感想・レビュー
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Tetchy
105
昔からよくある英雄による美しき姫君の救出劇であり、悪人は現代の青ひげとも云える精神異常者。この古来からある設定に冒険活劇と起伏あるストーリー展開を肉付けした純然たる冒険小説と云えるだろう。少年ジャンプの三原則は友情、努力、勝利だったが、このマレルの作品はまさにこの三原則に沿って書かれた物語だ。そしてこの三原則に大人の読み物であるので、ここに男女の愛情が加わるわけだが、実はこの愛情こそが本書では最も濃い。歪んだ愛に深い愛。典型的な冒険活劇の中にちょっぴり苦く切ない男女の恋の結末が含まれていたのが収穫だった。2019/09/16
tai65
1
星5つ2021/04/22