内容説明
ナチ・ドイツが崩壊し、降伏文書が調印された1945年5月。英国海軍のマリアット大尉指揮するガンボートは、ドイツの要港キールに進入した。だが、いまだ黒煙たなびく港で彼らを待ち受けていたのは、憎むべき敵ではなく、戦いに疲れた人々の姿だった。マリアットは休む間もなく、ソ連占領地からの難民船を阻止する辛い任務を命じられるが…。海洋小説の巨匠が、敗戦で混乱したドイツで苦闘する英国将兵の姿を描く感動作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
goro@the_booby
20
終戦の日から始まる戦争もの。戦後処理のドイツが舞台の中々お目にかかれない内容でした。若きガンボート艇長の人として生きる姿に感銘。誰しもが敗者で勝者なのかもしれない。2015/06/26
鐵太郎
19
フェアマイル型高速魚雷艇の艇長ヴィア・マリアット大尉の物語。第二次大戦ものですが、実質的にはドイツが降伏してから始まります。場所はほとんどがドイツ軍の要港、キール。戦争が終わっても彼らの戦いは終わっていなかった、というのがテーマですが、むろん表立った戦闘ではなく、その陰にあったいろいろなこと。腐った英国兵士たち、暗躍するソ連海軍、生き残るために必死なドイツ人たち、そしてマリアットを取り巻くさまざまな人々の人間模様。彼が救い出し、愛した女性のこと。最後に、年末の港に見える白い大砲が、物語を締めてくれます。2019/08/03
鈴木誠二
1
これまで読んできたダグラス・リーマンの小説でベスお気に入り! 帯コピーの「戦争が終わったき、彼らの戦いは始まった」は、まさにその通り!ダテじゃない!! 『あれよ星屑』を進駐軍サイドから描いたものだと言えば、ある意味分かりやすいかも。ヒロシマ&ナガサキの原爆投下に対し、アメリカはやりすぎたのではないかと、ほぼ大戦の全期間中、ナチスドイツから、英本土への攻撃にさらされたことで、複雑な思いを抱くイギリス人たちがいた、という描写があったたことに驚く。2017/05/22
魔魔男爵
0
「おれに必要なのは犬だけだ」「女は?」「ああ、たぶんいつかは」口とペニスしかない野蛮な男が大好きなセクス=愛を揶揄し、犬に象徴される友情、遊び心をマンセーした戦争文学。ナチドイツ降伏で物語りは始まるので戦争冒険小説ではありません。エンタメとするなら終戦直後を舞台にした謀略小説って感じ?エンタメと呼ぶにはストーリー展開が地味過ぎるか?これを読めば大日本帝国軍よりアメリカ軍よりイギリス軍のファンになること間違いなし!女とのセクスは二の次にして任務に励むイギリス青年兵に萌よ。少女より少年に重きを成す801文学 2012/04/13