内容説明
少年の母親の若い未亡人は、パンソリの唄い手の子を宿し、難産の末女の子を生んで命を落とした。唄い手の父親は幼い兄妹に太鼓と唄を教えこみ、村から村へとパンソリを唄って放浪をつづける。ある時兄は母を“殺した”義父を討とうとして果たせず、出奔する。それから長い年月が過ぎ、兄は宿命のパンソリと、盲人の唄い手となった妹を求めて、全羅南道を旅する。韓国映画史上最大のヒット作の原作『南道の人』の完全訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
飯田健雄
41
韓国文学の名著とされるこの本はくらいなあ。日本の文学でも吉村昭、遠藤周作の時代ものを連想しても、はるかに暗い。時間が止まっている、永遠の過去に住む人々として暗い。読書メーターの読者が、この名作を誰も読んでいないことには、驚いた。2017/06/05
けん
3
佐藤忠男『韓国映画の精神』に書かれていた『西便制』の内容が記憶と違ったので、確認のためほぼ10年ぶりに再読。特に最終章が相変わらず難解。唄(パンソリ)が生きることの恨を解くためのものならば、唄を生とする生き方もあるということ。そこまではわかるけど、最後のくだりがなあ…。それが唄である必要はないということかしら?うーん、わからん。2019/08/11
-
- 洋書
- Daisy Miller