内容説明
連合軍艦艇をドイツ軍の機雷から守るため、ドーバー海峡で掃海作業を続ける英国海軍掃海艇ロブロイ号。単調な、しかし一瞬の油断も許されぬ危険な任務に、艇長ランサム少佐以下の若き乗組員たちは疲弊しきっていた。そんな彼らに新たな命令が下った。地中海へ赴き、シチリア島上陸作戦に参加せよというのだ。愛する者を背後に残し、男たちは壮絶な激戦の渦中へと身を投じてゆく…。海戦小説の第一人者が放つ感動の大作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くたくた
46
世間の耳目を集める大型の作戦、ハスキー作戦やノルマンディー上陸の影で、味方の艦船の航行のためにひたすら下働きの機雷除去を続ける小型艦。戦闘に向かう攻撃艦や上陸用舟艇のために、まず安全な海路を開かねばならない。小型艇とはいえ80余名が乗る掃海艇の艇長は、イアン・ランサム少佐28歳。年の離れた弟が地中海で戦死したとの報にも、胸が潰れる思いを押し隠し、冷静に艦を指揮する練達の艇長。艇を愛し、部下思いで、個性豊かな乗組員の悲喜こもごもを交えつつ指導育成する指揮官としての姿も読みどころである。2020/08/22
鐵太郎
20
掃海艇という、普段は全く眼にとめてもらえない縁の下の海の掃除屋たちを主役に据えたリーマン節。はたして掃海艇にこれだけのドラマがありこれだけ力量がある男たちがいたのか、よく考えると不思議。今回の主人公イアン・ランサムもそういう男。しゃちほこばった新任の副長がだんだん角が取れていくところはなかなか面白い。この副長、中将の息子なのですが、そんな引きがあるんなら掃海艇ごときじゃなくもっとでかいフネの指揮官になるべきだと思うなぁ。(笑) 今回の「主人公の女」は珍しく初恋を貫いた年の差少女ってのが素敵(か?)2019/03/19
鈴木誠二
3
スポットの当たることが少ないと思われる掃海艇を舞台にして戦記小説ですよ! それだけでも読む価値がありました(俺的には)。2017/05/19