内容説明
対潜兵器の進歩により、いまやドイツ潜水艦隊は狩る側から狩られる側へとまわっていた。ジブラルタル海峡の突破を試みたUボートは敵機の猛襲を受けて大破し、海底に激突してしまう。いたる所で浸水し、浮上不能となった艦内では酸素不足による窒息の危機が刻々と迫る…。満身創痍の乗組員たちが、果てしなき死線を彷徨った航海の末路で眼にしたものは?著者自身のUボートでの体験をもとに描かれた世界的ベストセラー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
182
敗戦国の作品らしい結び。あれだけの困難を乗りこえベストを尽くして最後があれとは。読み応えある作品で、当時の潜水艦乗りがどれだけ困難な任務をこなしていたかわかる。着底して機関も動かせない、深度は設計深度の3倍以上という状況を克服しての脱出劇。まさに水面下で生還への血のにじむ努力が行われていたのだった。海面下から浮上した時の解放感はすごい。乗組員にでもなった気になってしまう。物資や食料不足に悩まされたのは日本ばかりではなかったようだ。2021/07/10
鐵太郎
14
翻訳は松谷健二さん。文庫版のあとがきの最後に、映画となった「Uボート」の説明と日本での評判を書いたあと、こう書いています。 【 おそらくこの本は著者、訳者の死後も生きつづけるだろう。そう考えると、いささか妙な気がするが。】 まさに、至言なり。著者も訳者も他界した今も、この本の価値は消えていません。まったく死んでいません。2010/02/26
小形克宏
4
古今東西を問わず、畢竟文学とは内面の葛藤を深く描くものであろう。とすれば、この作品はタイトルやデザインから想起されるような戦記物というより、もう少し普遍的な読まれ方をされるべき作品といえないか。とくに後半、敵の攻撃により海底260メートルに沈底させられ、そのまま数日間生死をさまよう場面。主人公はひたすら妄想(主として過去の女性とのセックスシーン)に逃れるのだが、そのイメージの奔流がすごい。生々しくも脈絡がなく、しかし彼にとっては生きるためのまさに切実な妄想なのだ。ちょっと「ソラリス」を思い出してしまいまし2011/10/10
ジャガラモガラ
2
冗長な部分もあるが、そういったところも含めて艦内での生活が生々しく伝わってくる。
丰
0
Y-102001/04/26
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- 和書
- 「ごん狐」の誕生