内容説明
男はタイム・マシーンに乗って、とある町を訪れた。生命と思い出と愛情を燃料にして。彼の目的は、町の郊外に眠る一人の老人を墓から呼び起こし、その生涯に“ふさわしい”死を与えなおすこと。彼がそれほどまでに敬愛する老人とは、冒険をこよなく愛した、かの偉大な作家だった。表題作「キリマンジャロ・マシーン」ほか、異次元に生まれてしまった赤ん坊と両親の物語「明日の子供」、人類滅亡後ただ一人火星に残った老人に突然かかってきた電話「夜のコレクト・コール」など、SF界の叙情詩人が、読者を愛と郷愁の世界へ誘う傑作短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぜんこう
20
10編の短編集。ほとんど(もしかしたら全部)既読。 この中では、産まれてきた赤ちゃんがこの3次元世界ではなく異次元世界に産まれてしまったという「明日の子供」のラストが切なくて好きです・・・あまりブラッドベリらしくない話かもしれないけど。 他に得意の(?)火星ものの「夜のコレクト・コール」なんかもいい。2018/09/17
きたくり
3
◎短篇集。表題作の「キリマンジャロマシーン」が好き。主人公は敬愛する作家ヘミングウェイの墓のある町へ行く。しかしその墓はこの作家にはふさわしくないと思っているので、タイムマシーンに乗って彼にふさわしい墓、ふさわしい死に方、死に場所を与えなおそうとする・・・というお話。その「ふさわしい場所」に行き着いた場面ではちょっと泣きそうになった。とても短いお話だけど深くて祈りに満ちた物語。現実のヘミングウェイの死に方は自殺だったということを今回はじめて知った。2010/03/25
aya LR
2
短編集。初めて読んだのはいつだったか・・・もう10年以上前だったと思うが、そのときは「キリマンジャロ・マシーン」に感動し、「海」で背筋が凍った記憶がある。 今回は、やっぱり「海」が怖かったのと、あとは「明日の子供」の深い余韻に浸ることができた。 新たな旅立ちを描いた作品が多いな、と感じた。 2013/06/28
rudiegirl
1
1989年5月31日発行。
アーサー2号
1
何もない火星で一人電話を待つ老人「夜のコレクトコール」、産まれた子供が別次元の形で産まれた「明日の子供」、ちょっぴりホラーな「女」,「お邸炎上」が良かったです。2012/02/17