内容説明
1793年春、英国はフランス革命軍を打ち砕くべく、同国王党派と手を組んで、要衝ツーロンを封鎖・占拠する作戦を進めていた。そんな折り、ボライソーは戦列艦ハイペリオン号の艦長に任命され、やがて重大な任務を託される。リオン湾の西部に浮かぶコザール島―ツーロンの戦いで貴重な戦略拠点となるこの島を、早急に占拠せよというのだ。司令官との対立、反抗的な海尉、老朽化した指揮艦―不利な条件を抱えながらも、ボライソーは敢然と闘いを挑む。だが、革命軍は予想以上に手強かった!いよいよ佳境に入る本格海洋冒険シリーズ第8巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鐵太郎
10
1793年、病癒えたリチャード・ボライソー(37歳)は戦列艦ハイペリオン号艦長。舞台は西地中海。執筆順序としては二番目だから、バイオラ・レイモンドなど誰も知らない。(笑) とはいえ、荒削りながらケント節は怒濤の勢いです。不幸な出自のツンデレ女性との出会いやその結果など、こちらものちに何度も繰り返されるパターンですが、常に最悪に備え、的中して苦闘するボライソーの姿は見事。「彼」、髪の真っ白な男の正体を謎としたまま、見事な冒険小説は幕を閉じます。2012/03/22
カラヤ3
2
へリック副長と再会。スペイン軍とともにフランス侵攻作戦に参加し物語は進む。くずの将校と有能な将校の差が際立つように書いているがくずの下の兵隊さんはつらいよなあ。2018/04/28
チャゲシン
1
ナポレオンが名をあげたトゥーロン攻囲戦の支作戦で、無能な上司の失敗や嫌がらせに耐えつつ、後に馴染み深い艦となるハイペリオン号艦長に就任したボライソーが小兵力で大兵力に勝利する、まさにボライソー絶頂期の物語。この頃のボライソーが一番面白いですわ2019/10/11