感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
124
スマイリー三部作最終巻。前2作と比べて実に読みやすく物語の流れが実に頭に入りやすい。その展開はストレートであるように思えた。そして最大の宿敵カーラとの決着も着く。それも実に意外な形で。諜報の世界は国のため、任務のためには自分の命さえも顧みない非情の世界だが、この三部作を読むとスパイは女性への思慕にほだされ、自滅している。実は人間臭い世界なのだということをル・カレは語ってみせた。長きに亘って繰り広げた戦いの幕引きはあくまで静かだ。それは決して歴史の表に出ないスパイ戦の幕引きを象徴しているからかもしれない。2023/03/26
k5
45
完結編。しかし相変わらず、なんでカーラがやってくるのか一読ではよく分からなかったので、もう一回読みます。2024/04/24
Kajitt22
35
ジョン・ル・カレ追悼。スマイリー3部作完結編。あいだに再読、近作、自叙伝を挟みながら数十年かけての完読。スマイリーの質問・尋問の言葉の鋭さ重さに感嘆しながら読み進めた。最後、チェックポイントでの終局は既視感があり、トム・ハンクスの映画『ブリッジ・オブ・スパイ』のエンディングのようだ。脚本のコーエン兄弟も監督のスピルバーグもル・カレのファンだったのかもしれない。未見で積んであるDVD『裏切りのサーカス』と『誰よりも狙われた男』をこの連休で観るつもりです。2021/07/20
田中
35
スマイリーの機関が壊滅的打撃を被り、妻アンの愛が喪失したのは、全てが「カーラ」の周到な謀議操作だった。妻との関係に傷心する日々。スマイリーの粘り強い探究心、深遠な洞察力、キャリアから導くロジックが、不可視的困難な物証を発掘する。どんどん深掘りしていき、ついに、あのカーラの弱点にたどりつく手腕はお見事だ。美徳である「愛情」そのものが、実は「破滅」をひきよせるとは、諜報世界の虚しさだろう。前2作で経緯を知っていたからこそ、本編はより心が打たれた。素晴らしい一冊。 2020/10/23
バ度ホワイト
27
読み終えてしまった・・スマイリー3部作。序盤はミステリー小説を読んでるような謎の数々が。この話がどうカーラに結びつくのか?本当に決着はあるのか?このゆっくり進むストーリーに不安になりながらも引き込まれていく。前作と違いスマイリーがとにかく動き回る。アンとスマイリーの関係がしっかり伏線となって現れる。またティンカーテイラーを読み返さねば。出てくるの遅いよピーター・ギラムめ!2019/01/14