内容説明
第2次大戦後、復員してデラノ警察に職を得たサニー・バッツ。やがて署長に抜擢された彼は、ウィル・ヘンリーの遺したメモから殺人事件のことを知るが、犯人の逮捕をあせるあまり、思わぬ陥穽に落ちてしまう。それから十余年が過ぎ、タッカー・ワッツが初の黒人署長として華々しく就任した。州副知事でウィル・ヘンリーの息子ビリーの支持を受ける彼は、前任者二人が解きえなかった事件に挑む。だが、ビリーの知事選出馬、黒人差別を続ける反動勢力の策謀が絡み、捜査は複雑な様相を呈してきた!全米に称賛の渦を巻き起こした感動の力作巨篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
goro@the_booby
73
再読でも一気呵成の下巻でありました!失踪事件の糸口を掴んだ悪徳署長のバッツ、初の黒人署長となったワッツ。選挙運動が彼らの動きに連動するかのように浮き沈みするビリー・リー。読ませるねぇ~デラノという街を舞台に3代の署長が辿った歴史をみているよう。そして上手くまとめてるよ。人種問題を絡めてハラハラドキドキ。良質な物語は何十年たっても色褪せないと改めて思う。2019/12/06
タツ フカガワ
55
初代署長が亡くなって20数年後、デラノの警察署長になったK.K.Kの一員でもあるサニーも、その後1962年に黒人初の警察署長となったタッカーも、初代ウィル・ヘンリーが書き残したあの事件の捜査メモに興味を持つ。おなじころウィル・ヘンリーの息子ビリーはジョージア州知事選へ立候補する。ミステリーというよりサスペンス、というより人間ドラマの面白いことといったら溜め息ものでした。S・ウッズのデビュー作にして畢生の一作ですね。2023/11/17
みっぴー
24
不完全燃焼でした。直接犯人の口から動機が語られることはなく、あくまで〝推測〟で終わっています。また、犯人と被害者のやりとりが全く描写されておらず、読み手は蚊帳の外…犯罪部分については想像に頼るほかありません。話題が選挙や黒人差別に向けられるたびに捜査から遠ざかるので、中々物語に入っていけなかったのも残念でした。2015/12/20
Ribes triste
20
ビリーは弁護士から下院議員となり、さらには副知事へと躍進を遂げる。そしてデラノに初の黒人警察署長が誕生する。ところが彼はビリーと浅からぬ因縁があり…。最後まで息つく暇の無い展開です。父と同じように、息子もまた信念のもとに自分の道を歩んでいく姿は格好いい。2018/12/14
本の蟲
13
警察一族3代の物語という予想に反して、第二部の署長はあかの他人で、おまけに人種差別主義者のクソ野郎だった。一部署長の息子ビリーは差別撤廃を求める政治家になっており、激しく対立することになる。そして意外な決着がついた後の第三部では、南部で初の黒人警察署長が就任する。それは町の行く末を決める知事選挙にどう影響するのか。彼の抱える秘密と43年にわたる犯罪の決着や如何に。人ではなく「町の変化」が主役の大河小説。何もない荒地の頃から絡む利権。南北戦争の影響や、南部の農地問題。人口の増加と警察署設立(続2021/10/24