内容説明
1920年冬、ジョージア州の田舎町デラノの郊外で若者の全裸死体が発見された。就任間もない初代警察署長ウィル・ヘンリー・リーは、秘密結社K・K・Kの犯行と見て捜査を開始する。だが、検視の結果判明したのは、死体が警察関係者の手によって尋問された形跡があるという事実だった。一体、犯人は何者なのか?調査の末、やがて意外な人物が浮かびあがるが、そのときウィル・ヘンリーを思わぬ事件が襲った!南部の小都市を舞台に、40数年に及ぶ殺人事件を多彩な登場人物を配して描く大河警察小説。アメリカ探偵作家クラブ最優秀新人賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
goro@the_booby
66
再読了。新興の街デラノ。初代警察署長となったウィル・ヘンリー・リーは崖から転落死した裸の男の事件を追うが手掛かりは掴めない。1920年代から始まるウッズの警察大河小説は政治、人種差別問題などを絡めてジワジワトと流れ始める。波乱の予感を漂わせ下巻へ!2019/12/03
タツ フカガワ
56
30代の元農場主ウィル・ヘンリーがジョージア州の小さな町デラノの初代警察署長になったのは人種差別も激しい1919年のことだった。就任後まもなく、町外れの谷間で全裸の若い男の死体が発見される。身元も判明しないまま未解決となったこの事件を軸に3人の警察署長の44年間を描いた大河小説で、30数年ぶりの再読ですが色褪せない面白さに、改めて感激です。謹直誠実なウィル・ヘンリーを襲う銃弾から、さらに読むテンポも上がってきたところで下巻へ。2023/11/15
みっぴー
26
アメリカ南部が舞台です。タイトルは警察署長ですが、小さな町で警官は一人しかいないので、その一人が自ずと署長になっているという設定。大半が町の環境や住民の暮らしについてページが割かれており、ややゆったりした印象。メインとなる殺人事件が起こってからも、町に劇的な変化は無く、結局未解決のまま時が過ぎていきます。下巻で一気に巻き返してくることを期待します!2015/12/19
Ribes triste
21
1919年、綿花農場主だったウィル・ヘンリーはその人望を買われ、ジョージア州デラノ市の初代警察署長となる。ほとんど事件の無い田舎で、身元不明の若者の死体が発見される。デラノを舞台に50年にわたって描かれる。黒人差別の根深い社会で、父ウィル・ヘンリーの物語は息子ビリーへとつながっていく。面白くて、そのまま下巻に突入。2018/12/14
本の蟲
12
貫井徳郎のインタビュー記事で知る。初めて書く大河小説「邯鄲の島遙かなり」の着想は本作にあったらしい。米国南部を舞台にした、1920年代から始まる警察大河小説。できたばかりの町、デラノの初代警察署長に就任したウィル・ヘンリー。真面目に精力的に働くが、なにせ南部で時代も時代。黒人は当たり前に差別されているし、頼りになる指導役だった隣町の保安官は、公然とKKKを支持している。町で起こった殺人事件を追うウィルだったが…。後半から息子ビリーの時代へと。町の政治と事件と過去の因縁がどうなっていくのか。下巻楽しみ2021/10/24