内容説明
科学者の死体は、巨大なスチーム・ハンマーの下に横たわっていた。その頭と右腕は鉄槌の下で完全に粉砕され、原形すらとどめていない…優秀な科学者を突然襲った不可解きわまりない死。はたして彼に何が起きたのか。やがて科学者の妻の手記が明らかにした想像を絶する真相とは?自らの画期的発明により破滅してゆく科学者の悲劇を描き“20世紀に書かれたもっとも戦慄すべき物語”と評された傑作「蠅」を始め、「考えるロボット」「奇蹟」など悪夢のような物語10篇を収録。異色作家ランジュランの魅力を余すところなく味わえる珠玉短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まえすとろ
12
イギリスの小説家ジョルジュ・ランジュランによって1954年に発表された短編小説。イギリス空軍属の物理化学者ロバートの妻アンは、義兄のアーサーに夫を殺害したと自白の電話をすることから物語は始まる。アンは、やがて訪れたアーサーと、その友人のトウィンカー警部の眼前にプレス用のスチームハンマーによって上半身を潰されたロバートの死体を見せる。あまりの陰惨さからアンは逮捕の後に精神病院へ送られ、事態を予見していた彼女は、すべての経緯をレポートに記してアーサーに託し病院内で自殺する。 2014/02/17
よっぴ
10
奇譚、短編集、100冊の徹夜本。。僕には途中まで読み再び積んだりを繰り返し、読み終えるまでとても時間が掛かった本。今月、再び手に取り読み始めたら一気に読み終える事が出来ました。全体的に摩訶不思議な謎が書かれている本だが、僕が気に入ったのは「安楽椅子探偵」「最終飛行」「考えるロボット」。緊迫していて出てくる謎の書き方も面白い。謎が魅力的だと真相が気になるが、結果は好みが分かれるところ。。作者の作品では「蝿」が何度も映画化しており有名だが、僕には連続ドラマの「トワイライトゾーン」を思い出させてくれました。2016/02/03
黒い森会長
3
異色短編集の1冊。10編収録。SFというより、怪奇小説集。蠅:映画蠅男の恐怖の原作。奇跡:列車事故で下半身不随になった男と少女。忘却への墜落:妻に毒を飲んだと騙して、心臓発作を起こさした男。彼方のどこにもいない女:テレビの中の人物。御しがたい虎:動物を操れる能力。虎には通用しなかった。他人の手:右手に乗っ取られる。安楽椅子探偵:子供が誘拐される。悪魔の巡回:妻と犬を失った男、悪魔と契約。最後に出し抜く。最終飛行:ラッキー・パークソン機長の最終飛行。考えるロボット:チェスをするロボットの正体。捕まった彼女。2016/08/03
金木犀
1
NV427 198612初版2008/10/23