感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
23
後に作者自身が共著でノンフィクションとして著すミュンヘン・オリンピックで起きたイスラエル選手団暗殺事件に端を発する復讐の連鎖の物語。テロリスト、アルフレート・ミューラーが描く「決定的な報復」の正体は現代でもかなりのインパクト。それをなす舞台設定は実に劇的で、そこに至ってタイトルの意味が立ち上ってくる。またさすがに政治家の経験もあるだけに国際情勢の複雑さを食材に謀略小説にする料理の腕前は一級品だ。そしてまた私自身が子供だった70年代から80年代にかけての当時の世界情勢を振り返るのに格好の教材になっている。2014/03/08
ようかん
1
すごいスペクタクル小説。このスリルは、自分の中でも１・２を争う。けっこうな長編であるが、全く無駄なく、一切淀んだ記述が無い。全体を覆うダークな統一感。モサドの長官・ペレドをはじめ、敵役のミューラーは勿論、ペレドの片腕の女性情報官マリー・セゲヴに至るまで、すべての人に関する一つ一つのエピソードも、物語全体の重みを増すことに役立っている。とにかくこれらの驚くべきエピソードが多重に折り重なって、重厚な物語が描かれる。モサドとテロリストの騙し合いという実に単純な構造ながら、そういった側面が抜群な面白みを醸し出す。2017/04/11
kanamori
0
☆☆☆★2013/09/30
