感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
活字スキー
28
【かれにはほかになにができたでしょう?国を救うために志願し、手につけた職といえば人殺しだけ】自分はどちらかと言えばスタローンよりシュワ派だったので、映画『ランボー』は現時点での最新作『最後の戦場』以外ちゃんと観たことがなかったが、夏の下鴨さんでたまたま本書を見つけたのを機に読んでみることにした。映画のあらすじは知っていたが、原作は主人公のベトナム帰還兵ランボー及び彼を排除しようとする警察署長ティーズルそれぞれの視点を行き来しつつ語られる、想像以上に陰鬱な物語だった……。2018/11/19
Tetchy
27
一読して驚いたのはランボーの敵役の警察署長ティーズルがいわゆる田舎町を牛耳る悪徳署長などではないことだ。通常の物語構造から云えばランボーは元グリーンベレーでヴェトナム戦争の時に抱えたトラウマでおかしくなった殺戮マシーンであり、それを追い出そうとする警察署長ティーズルらは彼のターゲットとなり、善と悪で云えばティーズルが善、ランボーが悪なのだ。これは映画の構造と全く逆で驚いた。まさに価値観の転換である。そう、これはランボーとティーズル2人の物語なのだ。映画があまりに有名なため、この作品の本質は誤解されている。2012/05/07
drago @高校野球観戦中。
14
元グリーンベレー隊員、壮絶なベトナム戦争から生還したランボー。精神を患い、職にも付けず田舎町を放浪中に、町から追い出そうとする郡警察の署長と諍いになり、警官を殺して署から逃走。ランボーの本能が目覚める…。■展開は好みだが、ランボーと署長の心理描写が多すぎてやや飽きる。■ラストは、ランボーの元教官がショットガンで彼の頭を吹き飛ばして終わるが、映画の大ヒットで続編が誕生したのだろう…。■原作は44年前、図書館蔵書の文庫本も34年前で、活字は小さく紙は黄ばみ読みにくいが、内容は古臭さを感じなかった。 ☆☆☆★ 2016/11/20
リュウジ
10
★3住所不定の若者を放浪罪で逮捕しただけで、なぜ、こんな大事になったのか?そもそも、なぜこんな事態が始まったのか?映画も小説も発端は同じだが、それを意味する中身は大きく違う(映画がダメという訳ではなく、芯を外さずよくもここまで映画的に巧みにまとめあげたと思う)。第二次世界大戦 、朝鮮戦争を経て、戦う意味も意義も兵士のあり方も全く異なるベトナム戦争の泥沼に踏み込んでしまった先にあったアメリカの混沌。映画と違い時折弱音を吐くランボーと逃げない警察署長との葛藤。絶望と失望からの解放は、死の中にしかなかったのか。2022/06/25
すけきよ
9
原作のランボーはかなりクレイジー。もめ事を求め、情緒不安定、思考の道筋がイマイチ辿りにくい。署長の方は普通の警官。というよりかなり善人。このクレイジーっぷりがかなり面白くて、居場所のない帰還兵という背景はあまり感じられず、結局自分から死と暴力の世界に帰ってきてしまう。逃げればいいのに、敵を殺すのをやめられない。署長も野生の超感覚を得て、ランボーと互角となる。最初は憎しみ合っていた二人だが、いつしかお互い共感できるようになり、それでも殺し合いをやめられない二匹のオスの闘争2008/01/11
-
- 和書
- 国家公務員法の解説