ハヤカワ文庫 七分間 〈下〉

アーヴィング・ウォレス/村上博基

早川書房（1982/08発売）

• サイズ 文庫判／ページ数 430p
• 商品コード 9784150402945
• NDC分類 933

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[koo]

　果たして「七分間」は少年を婦女暴行に駆り立てる程の発禁すべき猥褻本なのか？いざ裁判が始まると尻上がりに面白くなる稀有な作品でした。自分が好きな優秀な弁護士と優秀な検察官の法廷戦術に頼らないノーガードの殴り合いの様な対決、そして意外な結末が読み応え充分でした。事前の伏線の数々がかなり露骨な為、サプライズよりも読者の予想範囲内の結末になっていること、「復讐法廷」などと違い、裁判のテーマが抽象的で中盤までは読むのがかなりしんどかったことが欠点ですが、期待に違わぬリーガルものの傑作でした。オススメです。

2025/06/14

[Hiroshi Takeshita]

硬派。全力。作者は真面目な人なんだろうなぁと思う。あとがきによると、なかなかの人物であるらしい。古い作品で埋もれてしまった作家ではあるが、こういった出会い、発掘も本読み冥利に尽きる。ラストまで気を抜かず、裁判が終わった後のライバル同士の会話が実に清々しい。

2018/07/13