感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
193
大金を横領し恋しい男の下へ車を走らせるメアリが、寂れたモーテルに辿り着く。初めは恐る恐る宿を請うが、マザコン中年のノーマンに次第に気を許し、軽い優越感を持ち始める。そして二人が晩餐を共にする場面が怖い。軽い好奇心と同情からメアリは孤独な男の心の傷に触れていく。ノーマンが母親から抑圧されていることを読者は知っており、メアリが知らず知らず母親のポジションに立ち始めていることがわかる。そしてノーマンが子供のように叫び声をあげてもメアリは気づかない。映画のシャワー室の場面も怖いけれど、小説の食事の場面も怖かった。2024/02/15
足袋ねこ
4
ヒッチコック監督のサイコを鑑賞したので。 原作の方がノーマンの気持ちや意識がよく表現されているので内面の複雑さが分かりやすかった。また、原作では映画で感じた直接的な気味の悪さよりもどんなに身近な人であっても本当の内面は分からない、という後味の悪い気味の悪さが強い。2019/05/23
shiaruvy
3
△本棚捜索後詳細記入 ヒッチコックの大名作の元本。2017/12/29
aki
2
読み終えて翻訳者の名前を見たら、福島正実。半世紀前に読んだ本（ハヤカワミステリの『気違い』）を文庫化したものだった。ストーリーと結末を知っていても、なお次のページをめくらせる筆力がすごいわ。無駄な文章がない。基本的には短編作家なので、この作品も長編というより、長中編と考えたほうがいいかもしれん。並の作家なら、妹とくっつけようとするんだろうが、余計な描写は入れません。最後の章が不気味だわ。そっちのほうに統合するんかい。『サイコ２』が生まれるのも必然だったかもね。2023/05/26
