感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
65
初読。2015年1022冊め。【50-1/G1000】直前に読んだベルンハルトの「消失」に印象がかぶる。主人公ハーツォグは二度の結婚に破れ、自己の思考に埋没するようになり、次第に錯乱していく。とりとめなく思い浮かんだことを手紙という形で、昔の恋人から政治家、古今の思想家へ書き綴っていくのだが、この辺りも「ガンベッティに言った」等で記される「消失」に重なる。下巻はどうなるのだろう。ユダヤ色が強くなるかな。2015/08/28
NAO
61
ユダヤ人で思想史専攻の退官大学教授モーゼス・ハーツォグは内外から注目された論文を書いた著名人だが、二番目の妻との離婚から精神に破綻をきたしている。内省を繰り返し誰彼構わず手紙を書きまくるが、その手紙を書く行為は彼を興奮させ、彼の言動はますますおかしくなっていく。誰からも精神異常者扱いされるハーツォグに、救いはあるのだろうか。2019/01/03