ハヤカワ文庫<br> ハイラム氏の大冒険

ハヤカワ文庫
ハイラム氏の大冒険

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  • サイズ 文庫判
  • 商品コード 9784150401160

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Tetchy

83
牧歌的な表紙とは裏腹に第二次大戦下のヨーロッパを舞台にした、実に凄惨な、命のやり取りが行われる、ヒリヒリとした冒険、つまりイアン・フレミングの007シリーズのようなスパイ冒険活劇小説であった。単に会社から与えられた有休と褒賞金を使って念願のヨーロッパ旅行に来ただけのハイラム・ホリディ氏が斯くも過酷な冒険に巻き込まれるのはナチス・ドイツが横行していた時代だったからだ。そしてそれは作者ギャリコ自身の戦争に対する、ナチスドイツに対する憤りに他ならない。これほどまでに読書前と読了後の印象が異なる作品も珍しい。2025/02/16

しんこい

7
久々のギャリコ作品。平凡で目立たぬ男が、ヨーロッパを巡って意外な危険にまきこまれますが、運が良いのか芸は身を助けるのか、うまく切り抜けます。ナチスがのさばっていた時代なので反発したのか、でも傘で刺すのはやりすぎという感じも。2015/03/12

Нелли(ネリ)

3
直前、ナチス絡みの小説を読んで疲弊したのでもうちょっと気楽な読書をしようと思ったら、何の因果かこれも同じ時代のヨーロッパが舞台だった。解せぬ。脳天気なタイトルと表紙の印象に反して、主人公の置かれた情況は意外とハードボイルドでシビア。巨大に育った危険な組織を冴えない個人が叩きのめす――なんてことは無いにしても希望を持たせて終わるのがギャリコらしい。「ビエンナ」ってどこの地名かと思って調べたらウィーンのことだった。2016/09/02

MIRACLE

3
第二次大戦直前の欧州に旅行でやってきた平凡なアメリカ人が、ナチの陰謀から、オーストリアの皇女と王子を救い出す冒険譚。絶版で、見つけるのに苦労した。ギャリコは人間にたいする洞察に優れた作家だが、1939年に発表した本作は、それを欠いた凡作だ。例えば、米国の敵国側の人間を、徹底的に悪人として描いている。かたや、米国は自由と、名誉と、平和のある国であり、主人公はそれを体現している。こんな間の抜けた設定が通用するのは、米国の読者だけである。また、本書は翻訳がまずく、読みづらかった(ブッキング版の方がよい)。2013/02/06

id:cinemac

2
ナチを悪者とするアクション小説の典型(しかも美女にモテモテ)、みたいな感じなんだけど実は007に先行する1939作だった。若干バイオレンスシーンもあり、いつものギャリコ作を想像するとかなり毛色が違う。それと作者は勝手に70年代にピークがあった人というイメージだったけど、フィッツジェラルドとかヘミングウェイと同時代人だった(みなほぼ同い年)。ナチが悪者という設定は第二次大戦後の娯楽作に特有のものと思っていたのだけど、現在進行形でどうだったかのサンプルとして興味深かった。この手の源流はどこにあるのかな?2014/11/15

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