出版社内容情報
自動運転アルゴリズム開発会社の社長・坂本が拘束された。襲撃犯はその身柄と引き換えに首都高封鎖を要求! 緊迫のAIミステリ
内容説明
完全自動運転車が急速に普及した2029年の日本。自動運転アルゴリズムを開発する企業の代表である坂本義晴は、仕事場の自動運転車内で謎の男に拘束されてしまう。ムカッラフと名乗る襲撃犯は「坂本は殺人犯である」と宣言、動画配信と共に尋問を開始する。更に車の走る首都高の封鎖を要求し、応じなければ車内に仕掛けた爆弾が爆発するという。この男の狙いとは―?AIエンジニア作家が贈る新時代の傑作サスペンス!第9回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作。
著者等紹介
安野貴博[アンノタカヒロ]
1990年生まれ、東京都出身。東京大学工学部卒。ソフトウェアエンジニア。2019年、「コンティニュアス・インテグレーション」で第6回日経星新一賞一般部門優秀賞(JBCCホールディングス賞)受賞。2021年、第9回ハヤカワSFコンテストに投じた本作で優秀賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
74
高速道路を走るレベル5の完全自動運転車がカージャックされた。外部との接触は一切絶たれ、閉鎖された首都高を1台で延々と走り続ける。さらにある条件下では仕掛けられた爆弾も作動するという。車内の犯人と運転手の様子はライブ動画配信で全世界に流されはじめた。拉致されたのは完全自動運転車のシステム開発企業社長、謎の犯人の目的はなにか。設定こそ2029年だがミステリー要素が強く、社会問題も含めてすぐ先の未来を想像させる面白いテーマ。SFジャンルやAIに詳しくないが読みやすかった。【第9回ハヤカワSFコンテスト優秀賞】2024/05/15
kazuさん
50
自動運転車のプログラミングにおけるトロッコ問題をテーマにした、近未来の自動運転アルゴリズムを描くSF小説。テンポが速く、物語の展開もスピーディーなため、面白くて一気に読めた。題材は新鮮でありながら身近でもあり、興味を引かれた。自動運転では、車が衝突する数秒前の意思決定は完全にプログラムに依存することを改めて実感し、トロッコ問題は今後も解決の難しい倫理的課題であり続けると考えさせられた。2025/02/10
mayu
28
初読み作家さん。他の方の感想を読んで都知事選に出ていた方だと知って、驚いた。完全自動運転車が当たり前になった2029年の東京を舞台に、自動運転車のアルゴリズム開発者が突然現れた謎の男に車中で拉致される。配信をしながら要求を伝えているのに、男の 実在が中々掴めない…上げた条件を破った途端爆弾が爆発するという。やー、面白かった。絵空事ではない、完全自動運転車が見せる未来。完全自動運転車は便利だけど大量の失業者を産んだり、もっともっと深い部分に複雑な弊害がある事を考えさせられる一冊だった。2024/09/22
よっち
28
完全自動運転車が急速に普及した2029年の日本。自動運転アルゴリズムを開発する企業の代表・坂本義晴が、仕事場の自動運転車内で襲われ拘束されてしまう近未来小説。「ムカッラフ」を名乗る謎の人物に突如拘束され、とある死亡事故が起きたロジックの説明と開示を要求された坂本。襲撃犯の様子が動画配信で中継される中、首都高封鎖が要求されて封鎖しなければ車内に仕掛けられた爆弾が爆発する緊迫感がある展開で、エンジニアと組んだ刑事が意外なルートからのアプローチで真相に迫ってゆくストーリーはテンポもよくてなかなか面白かったです。2024/04/05
えも
26
安野さん2作目▼2019年という近未来を舞台に、完全自動運転にまつわる問題、あるいは企業の良心や技術のオープンソース化、社会的少数者との格差、警察組織、デジタル・ディバイドといった多様な問題を炙り出した作品▼疾走感と未来感が堪らない!2025/04/13