出版社内容情報
大使館の開設と独裁者の暗殺により世界大戦を回避したオリオン集団は、人類に軌道エレベーターの技術を提示する――シリーズ完結
内容説明
大使館開設と独裁者の暗殺によって世界大戦を回避したオリオン集団。彼らの軌道エレベーター技術によって、秋津俊雄は宇宙空間の拠点ドグマへと招かれる。そこでは、鮎川悦子や古田暁子をはじめ世界各地から集められた優秀な人材が、オリオン集団の教育を受けていた。異なる文明がもたらした科学技術は、人類社会の未来に大きな変化と軋轢を引き起こしていく。ついに明らかになるオリオン集団の目的とは?シリーズ完結。
著者等紹介
林譲治[ハヤシジョウジ]
1962年北海道生まれ。臨床検査技師を経て、1995年『大日本帝国欧州電撃作戦』(共著)で作家デビュー。確かな歴史観に裏打ちされた架空戦記小説で人気を集める。2000年以降は、科学的アイデアと社会学的文明シミュレーションが融合した作品を次々に発表している。ミリタリーSFシリーズ“星系出雲の兵站”(ハヤカワ文庫JA)で、第41回日本SF大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
107
本シリーズは林譲治版『幼年期の終り』と明らかになる。オリオン太郎がカレルレンで秋津や武園がストルムグレン、各国政府や権力者をウェインライトやジャンとすれば理解できる。優れた知識や科学力を与え、戦争をなくして人類の平和的発展を促すまではクラークと同じだが根本的な使命と動機が違っていた。オリオン太郎はオーバーロードではなく、自分の属する集団の利益のため人類の飼育に勤しんでいたに過ぎない。なので鮎川や古田による反抗は一応成功し、地球は滅亡を免れた。しかし昭和315年に至って、それが正しかったのか問いかけるのだ。2022/02/27
鐵太郎
26
1感から4巻の半ばまでかけて、オリオン集団が異質であり人類の常識では理解できない事をえんえんと説明し、この巻では一気にオリオン集団に取り込まれた人類の何百年を描写しています。昭和という年号の意味を作家は理解しているのか疑問なのだけど、昭和315年の未来でフィナーレを迎える歴史が、不死となった何人かのキャラを中心に語られます。しかしこれ、壮大というより、軽すぎる。4巻前半までをシンプルにきちっと説明し、5巻後半をもっと長く重厚に描けたのではないか。これがこの作家の描写力の限界だとすると、残念の極みでした。2022/05/02
tom
23
最終巻に至ってようやく、地球外知性体が遠路はるばるやってきて、地球人に科学を教えようとした理由が明らかになる。あちらさんは病気という概念がない生命体、地球人はがんばっても100年。これじゃあ意識の持ち方、考え方、ぜんぜん違ってくる。当然のことながら意思疎通には決定的な難点があって、それを見極めた地球人の逆転劇につながる。ようやく対等の関係になり、宇宙で起きていた事態への対応も・・・。4巻まではほとんど徒労の読書という感じがあったのだけど、少しばかりの満足感を持つことができて終了。2023/04/08
宇宙猫
23
★★★★ 舞台が宇宙に移って、加速度的に時間が経過する種明かし編のようで、なんとなく物足りない。きれいに纏まってるし、内容はよかったんだけど前振りが長かったかな。D2022/11/17
Tadashi_N
19
パラレルワールドSFの王道に入った。昭和は続く。スネークマンの影響を感じる。桑原茂一。2023/05/02