出版社内容情報
言葉はすれ違ったままにしておかないほうがいいんです――弱小放送部に集った四人の高校生の一年を綴る、声と祈りの青春群像4篇
内容説明
弱小放送部に集った高校生たちの一年を綴る、声と勇気の青春群像四篇。
著者等紹介
青谷真未[アオヤマミ]
2012年、「花の魔女」で第2回ポプラ社小説新人賞・特別賞を受賞し、同作を改題した『鹿乃江さんの左手』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
106
やっぱりたまにこういう青春モノを読むのは大切ですね。ココロがクリアになる気がします。衝動的に高校の放送部を立ち上げた「巌」は高校三年生で野球部を退部してのスタートです。そんな中、一年生二人「鈴音」と「白瀬」が入部し同好会へと。更にちょっと謎めいた競馬実況女子、2年の「南条」も加わり、正式に『放送部』として始まります。四人、それぞれにちょっとワケありな感じがあり、各章ごとにそのワケをそれぞれの目線で綴られています。四人の中でも、やっぱりぶっちぎりでキャラがナイスなのは競馬実況女子の「南条」で、ステキでした。2024/03/20
お昼寝猫
91
引退時期を待たずに野球部を退部した巌は、廃部状態だった放送部を再興することになる。そんな新生放送部に集まってきたのは、いずれも一癖ありそうな後輩たち。しかも巌を含めて全員が放送に関しては素人同然だった。連作形式で放送部員ひとりひとりが主人公となって四つの物語が綴られていく。みんなが言葉にできない悩みを抱えていたが、新しくできた仲間たちに助けられ過去の呪縛から解き放たれて成長していく。失敗もあれば成功もある。「言葉」につまずいて、「言葉」に救われる。そんな高校生たちが眩しい。2024/02/11
ぶんこ
65
高校3年生になった春、野球部をやめた巌は、たった一人の放送部の立ち上げメンバーとなる。メンバー4人が揃わないと部としての活動と認められない。そこに新入生の赤羽と白瀬が入部。暫くして2年生の南条も加わり素人4人の放送部が動き出す。この4人がそれぞれ主人公となった章で、それぞれが抱える問題があきらかとなっていく。通して感じた事は、最後の方で巌さんの「言葉は呪いで、言葉は祈りだ。」に集約されているように、言葉にしなければ伝わらない。誤解して苦しんでいるよりは、言葉に出して解決していきたい、2022/06/06
ゆかーん
52
まさに「The青春小説」でした(笑)高校生の頃って、自分の感情のままに突き進んでいくから羨ましい…。ある日、校庭に響くマイクの音を聞いて、衝動的に放送部を立ち上げた巌くん。そして、その情報を聞きつけた1年生の赤羽さんと白瀬くんは、これまた衝動的に部活に入部。そう言った様々な偶然が連続して立ち上がった放送部は、まさに奇跡の賜物。誰かに何かを言われたからではなく、自分が抱く希望や夢を胸に頑張る姿は色々と元気をもらえました。コロナ禍で悶々としているからこそ、この本を読めばスカッとする青春気分を味わえます(笑)2022/01/28
papapapapal
50
言葉のあやふやさ、伝える事の難しさを考えさせてくれる一冊。期待以上に良き! 野球部を退部した3年生と元演劇部の1年生ふたりに、競馬実況が趣味の2年生が加わり、ようやく「部」として活動を始めた4人それぞれの視点で描く青春群像劇。勝ち進んでいくタイプの部活ものではなく、言葉を扱うことで生じる問題点を浮き彫りにする。言葉が持つ危うさや呪いを実感していく4人。悩んだり躓いたりしながら、仲間としてお互いを高め合い成長していく様子が、爽やかで胸熱で個人的どストライク! 子どもはもちろん大人にもオススメしたい♪2022/12/25