出版社内容情報
小川一水、北野勇作、菅浩江、津原泰水、飛
浩隆、林譲治らベテランから、小川哲、高山
羽根子、藤井太洋ら新鋭まで豪華20作家競作
内容説明
2021年4月現在、いまだ終わりの見えない新型コロナウイルスのパンデミックにより、人類社会は決定的な変容を迫られた。この先に待ち受けているのは、ワクチンの普及による収束か、あるいはウイルスとの苛酷な共存か。それにより人類の種属意識はどう変わるのか―まさに新型コロナウイルス禍の最中にある19名の作家の想像力が、ポストコロナの世界を描く19篇。日本SF作家クラブ編による、書き下ろしSFアンソロジー。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
COSMOS本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねこ
154
まえがきで「…小説よりめちゃめちゃな事実なんて、誰も求めてないよ、ばーかばーか」とコロナ禍に憤慨し、小説にもう一度追い越してもらおう…と19名のSF作家によるアンソロジーが始まる。SF作家は凄いなぁ!いつもどんな妄想をしているのだろう。平均25ページの中に不思議な世界観を構築し私を魅了する。どれもおもしろい。「書物は歌う」立原透耶、「空の幽契」飛浩隆、「オンライン福男」柴田勝家、「粘膜の接触について」津久井五月、「愛の夢」樋口恭介の5名の作品が私の中のベスト5でした。2024年の今、本書を読めて良かった。2024/01/16
ひさか
78
2021年4月ハヤカワJA文庫刊。書下ろし。新型コロナ以降の世界をテーマにした、19編の短編アンソロジーと2020年の第40回日本SF大賞に関わるエッセイを収録。COVID‑19パンデミックの経験が長いめなので、よく考えられた力作が多い。各人各様のポストコロナの世界観が興味深く、楽しかった。コロナにとらわれない話もあり、多彩。少し玉石混交ありました。2021/06/18
keroppi
71
現代SF最前線にいる作家たちが、コロナを題材に書き下ろしたアンソロジー。小説より奇なるコロナ禍をSF作家のイマジネーションはどう捉えるのか。多くの作家たちは、変異を繰り返すウィルスが世界を変えていく様を描いている。すでに現実でも、多くの変化が起こっている。もう元いた世界に戻ることはない。亡くなった人々が蘇ることはないし、テレワークやリモート会議は根付いていくことだろう。人と触れ合うことの怖さは、人々の心に染みつくだろう。それでも、次の未来を信じたい。未来を作るのは、人間のイマジネーションだから。2021/06/05
翔亀
48
【コロナ57】コロナ感染が始まってしばらくはコロナものを読み続けていたが、コロナが収まる気配は全くなく延々と続くし、同じことの繰り返しだし、展望は見えないし、いい加減に飽きてしまった。SFならば、その想像力/構想力により驚かせてくれるかもしれないと読んでみた。この4月発売の新旧日本SF作家21名勢揃いの書下ろしアンソロジーだ。アンソロジーにはお気に入り作家を探せるという楽しみもある。■コロナをSF的にどう捉えるか。1)宇宙史的な歴史として、2)新しい生活様式的な風俗として、3)ウィルス学的な科学と↓2021/06/12
ぐうぐう
44
コロナ禍という切実な状況と対峙し、この異常な世界で暮らしていくのには、情報を収集し、そこから正しいものを精査して、その蓄積から知識を養っていくことが必要だ。しかし、さらに大事なものがあることを、本書を読んで痛感させられた。それは、想像力だ。いくら知識があっても、そこに想像力がなければ社会はうまく機能しないはず。なぜなら想像は、未来と繋がっているからだ。コロナ禍の真っ只中、19人のSF作家がポストコロナをテーマに描く19作の短編は、実に様々な角度と視点からコロナの時代を捉えている。(つづく)2021/04/28