出版社内容情報
第二次世界大戦後、最大の核危機を迎えた人類の現代史を徹底的に検証。冷徹な筆致で分秒の緊迫場面を刻んだ超弩級の歴史改変SF。
佐藤 大輔[サトウ ダイスケ]
著・文・その他
内容説明
1962年10月20日、第35代合衆国大統領J・F・ケネディは、大統領執務室へ側近たちを集めた。キューバの共産主義者がソ連と軍事援助協力を締結し、反応弾頭を備えた準中距離弾道弾を持ち込んだからだ。未曾有の危機に直面する地球人類。一方で高度経済成長を迎えた日本では、北崎重工が宇宙開発の先鞭をつけていた―。架空戦史の雄・佐藤大輔がリアルな筆致で現代史を再検証し、その未来までを活写した伝説のシリーズ復刊。
著者等紹介
佐藤大輔[サトウダイスケ]
1964年、石川県生まれ。“征途”“レッドサンブラッククロス”などのシリーズで、戦略シミュレーション小説に独自の世界を切り開く。2017年に『帝国宇宙軍1―領宙侵犯―』(ハヤカワ文庫JA)を刊行するが、絶筆となる。2017年3月逝去。享年52(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鐵太郎
16
#大サトー 一周忌というのは悲しいし、新刊ではなく復刊である事も悲しいもの。しかし何度目の読み直しかしれないけれど、新たな気持ちで読み直せるのはちょっと嬉しいかも。この本が、アメリカ合衆国という「絶対に勝てないラスボス」の力を削ぐ手段として限定的核戦争を選んだ事は、今の世界の中ではある意味ヴィヴィッドかもしれません。もしそんなことが起きたら僕らはどうすればいいのか。なんせ今の僕らの世界には、北崎重工業はないし黒木がいないんだぜ?2018/03/24
ぺぱごじら
13
佐藤大輔の『歴史if』シリーズ。『もし、キューバ危機の時にケネディ側近の一人が胃潰瘍で不在だったら』。科学技術の発展は戦争によって促進されるのだとすれば、米ソのミサイル→ロケット→宇宙→核競争の流れは戦勝国の運命だったのだろう。続いていたら皇国の守護者より長くなったかもしれない物語。登場人物にはまだ魅力がなく、退屈(笑)。2018-982018/07/14
akiakki
7
本棚の奥から引っ張り出したら一気読みしてしまった。視点や時系列が切り替わりながら、パート毎に少人数がキレのある会話を行う佐藤節を久しぶりに味わった。本作はキューバ危機から核戦争が起きてしまったifだが、現実もそうなってた可能性があったんだよなぁ。作中で日本が助かったのが現場猫案件すぎ。2024/10/21
アトリアーナ
5
やはり若い時はだれしも尖りたがるもんなのね.佐藤サンの文体って,後期作品でもなかなかなもんだったけど,あれ,ずいぶんと丸くなってたんだの.いや,おもしろかったわ.キューバ危機って,リアルワールドでも,ホントにやばかったもんなぁ.個人的によろしかったのは,一般的に「すごいヒト」と思われがちで,むしろそうとしか思われていないJFKの描かれ方かなぁ.未完とは言え,1996年に第3巻が出て以降中断してたので,もし御存命であっても再開なさってたかどうか... ま,だからと言って残念であることに変わりはないけどさ.2018/06/20
hexia
5
キューバ危機が限定核戦争に発展してしまった世界を舞台に、からくも生き残った日本が生存を賭け宇宙を目指す。本巻ではキューバ危機まで▼この著者の作品は少年時代から耽読しており、色々学ばせていただいた。これからも珠玉の物語を読める、と思っていた矢先の訃報。喪失感は筆舌に尽くしがたい▼本作でもいわゆる佐藤節は絶好調。未完と分かっていても、新書版から加筆修正はないと分かっていても読んでしまうのはファンの性というものである2018/04/21