出版社内容情報
地球圏へと飛来する〈星〉を墜とす、機械の眼を持つ少女・霧原。彼女と孤独な整備工の神条は、お互いに惹かれ合うのだが……。
内容説明
「ボクたちは、星を墜とす機械だ。人間にはなりたくない。でも…」人造の眼球と巨砲“トニトゥルス”で、地球圏に迫る星々を軌道庭園から撃ち墜とす役目を担う、造られた子どもたちが居た。その一人である霧原は、寡黙な担当整備工の神条に心惹かれる。しかし、彼の元妻を名乗るハヤトが突然現れ、空前の規模の流星群が飛来する中で、彼女は自身の無慈悲な宿命を知る―。強く儚い防人の少女がそれでも抗い叫ぶ、小さな恋の唄。
著者等紹介
藍内友紀[アイウチユキ]
京都市生まれ。2017年に第5回ハヤカワSFコンテストで『スターダスト・レイン』が最終候補となる(出版に際して『星を墜とすボクに降る、ましろの雨』に改題)。また、ササクラ名義で2012年に第5回BOX‐AiR新人賞を『緋色のスプーク』にて受賞している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆかーん
65
愛ゆえに死す…。これはまさに未来の愛の姿を彷彿とさせる、SF版ロミオとジュリエットのよう…。地球に堕ちてくる隕石を撃ち落とすために生まれたのは、エキスパートなスナイパーたち。青い眼を持つ彼らにとって、空に浮かぶ星が生活の全てだったはずなのに…。いつのまにか、いつも自分の眼を整備してくれる、神条に恋してしまったボク。人間とスナイパーという禁断の恋がスタートします!触れたい、溺れたい、互いを求め合うように繋ぐ手に、力が入るほどに引き裂かれるリアル。その感情は肉体を超え、遺伝子レベルで求め合い続けるのでしょう。2019/03/05
よっち
40
人造の眼球と巨砲トニトゥルスで、地球圏に迫る星々を軌道庭園から撃ち墜とす子どもたちの一人である霧原。寡黙な担当整備工の神条の傍らにいることに満足していた彼女が、自らの無慈悲な宿命に直面する小さな恋の物語。突然現れた神条の元妻を名乗るハヤトの存在、そして空前の規模の流星群が飛来する中でようやく不器用な想いを自覚し、自分がどうあるべきか戸惑ってしまう霧原。最期までスナイパーであるべきか、気付いてしまった想いに向き合うべきか、心揺れた先にあった衝撃の結末でしたけど、これもまたひとつの愛の形なのかもしれませんね。2018/01/24
あおでん@やさどく管理人
36
星を一番に愛すべき<スナイパー>としての自分と、神条に惹かれてしまう人間のような自分が葛藤する霧原。だが、矛盾する感情を抱えていることは、本文で描かれている以上に人間らしい要素なのかなと思う。地球へ向かう星たちは、地球の青さに惹かれているという。我々は何に惹かれ、どこへ向かっていくのだろうか。2019/06/12
rosetta
29
★★★★✮第5回早川SFコンテスト最終候補、2018年刊。これで藍内さん名義の本は全て読んでしまった、寂しいなぁ。切ないリリシズムに満ちた文章はこの頃からこの作家さんの最大の魅力だな。流星群に襲われる地球を守るため衛星軌道上で飛んでくる星々を撃ち落とす人工的に産まれた若きスナイパーたち。人権を与えられず国家の備品でしかない彼らにも人格はあるのであった。担当の整備士に淡い気持ちを抱く霧原。星以外のものを愛していいのかと葛藤する。話は変わるが、是非藍内さんの筆で『バイオレットエバーガーデン』を書いて欲しい!2025/05/14
エリク
27
世界観とか背景とかまだ十分理解していなかった割にめっちゃ楽しめた本です。 主人公の葛藤や恋愛、職業感情がじかに突き刺さってきました。(言ってて、あんま意味わからない笑)2020/06/13