内容説明
犬神明は生きている!?狼人間の“不死”の秘密をわがものにせんと、アメリカCIA対中国情報部“虎部隊”の、熾烈凄惨な国際諜報戦の幕が切って落とされる。渡米した青鹿晶子は敵の罠に落ちて何処かへ連れ去られ、犬神明は狂気の鬼と化したサディスト医者の前にすべての記憶を喪失する。そしてもう一人の狼男、神明の血まみれの活躍は、今や全世界に黒い魔手を伸ばした恐るべき大陰謀の正体を暴いていく。“ウルフガイ”第2弾。
著者等紹介
平井和正[ヒライカズマサ]
1938年、神奈川県生まれ。中央大学法学部在学中の1961年、「殺人地帯」が第1回空想科学小説コンテスト努力賞を受賞して、作家デビュー。2015年1月、没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おかむー
58
言わずと知れたウルフガイシリーズ第二作、なんということでしょう今回が初読み。初出が1972年ということなので半世紀近く前の作品らしい古さはありつつも、読みづらいといころまではいかなかったので楽しめた。『よくできました』。学園を舞台にした前作『狼の紋章』からは趣を変え、犬神明を軸としてCIAと中国情報局が入り乱れ、その背後には“不死”をめぐる世界的陰謀が暗躍する。まぁとにかく主人公・犬神明とヒロイン・青鹿がとことんイジメられすぎてて悲痛、人間臭い神明と殺し屋・西城のふたりのキャラクターがなにげにいい味。2018/06/30
スターライト
14
不死身人間の秘密を我が物にせんものと、犬神明を狙う各国の諜報部隊。まともに組んでは勝ち目がないと、あの手この手で罠にかけ、猛攻撃を仕掛けるが、狼たちは生き延びていく。凄惨な場面が多く、人間の醜さをまざまざと見せつける展開がこれでもかと続く。舞台が学校を離れたこともあってか、今回の青鹿先生の登場は少な目。狼人間だけでなく、虎人間や悪鬼まで出て、バイオレンスな展開がさらに強化されていく。主人公の犬神明だけでなく、神明、虎4、西城など個性的なキャラクターが多く、読者に飽きさせない。続きを読みたい。2018/08/03
nishiyan
12
死んだはずの犬神明が生きているという情報を得た神明が狼男を巡る世界的な謀略に巻き込まれていくバイオレンスアクション。CIAと中国諜報機関「虎部隊」のみならず、狼男に悪鬼、虎人間まで登場しての大混戦。それにしても西条恵が何とも憎めない。東西冷戦の中、手駒として使われるものの悲哀を感じずにはいられなかった。犬神明は相変わらずのモテモテであり、出会う女性を落としてしまうところは主人公の業のなのだろう。追われる者となった犬神たちはどこへ行くのか。彼らの行く末が気になる読後感である。2019/03/12
なつみかん
10
この時代を考えれば、小説(少年・犬神明とアダルト・犬神明の2本だて)とコミック(そちらは見たことがないんだけれど〜)でメディアミックスの先駆けだったのかしら・・・なんにしてもこの後どうなったんだよ?未完なの、続きが知りたいのョ。2024/01/10
苗@中学3年生になりました
10
少年ウルフガイシリーズの2巻目です。1巻の「狼の紋章」よりも激しくなっています。残酷なシーンも多いのですが、それなのに、すごく胸を打たれるのが不思議です。女看護婦や殺人者の最後のシーンが不思議に胸を打つのです。不思議です。どうしてだろう。2018/01/27