出版社内容情報
『老ヴォールの惑星』『フリーランチの時代』『青い星まで飛んでいけ』に続く第4短篇集。
内容説明
弱小なディメ王国の醜悪な第六王子アリスマは、その類まれなる計算能力によって頭角を現していくが―森羅万象を計算し尽くす夢に取り憑かれた王を描き、星雲賞を受賞した表題作、英語版アンソロジー初出の宇宙SF「ゴールデンブレッド」、なぜか自律運転車に乗せられる人型ロボット、アサカさんを通して、AIの権利を考察する書き下ろし「リグ・ライト―機械が愛する権利について」ほか全5篇を収録の最新作品集。
著者等紹介
小川一水[オガワイッスイ]
1975年岐阜県生まれ。1996年、『まずは一報ポプラパレスより』で長篇デビュー(河出智紀名義)。2003年発表の月面開発SF『第六大陸』が第35回星雲賞日本長編部門を受賞。また、2005年の短篇集『老ヴォールの惑星』で「ベストSF2005」国内篇第1位を獲得、収録作の「漂った男」で第37回星雲賞日本短編部門を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケンケン
78
(553冊目)引き出しの多さを感じさせる期待通りの作品集でした。特に表題作とゴールデンブレットとリグ・ライトが印象に残りました。「星のみなとのオペレーター」には、天冥の標ネタが含まれており、シリーズファンには嬉しい限りです! 最近の飛躍的に向上しつつあるAI・自動運転に対する考えも興味深かったです。2018/01/14
おかむー
68
適度な軽さと根底にしっかりとしたSFを潜ませつつもわかりやすい小川一水らしさがよく出た短編集。『よくできました』。別のアンソロジーで既読の表題作はファンタジーに数学&話題の「三体」もかくやという人力コンピューターを描いた圧倒的独自色。AIを描く二篇は題材がバイクと車なところが著者の趣味全開か。宇宙を舞台にした二篇は異文化、異文明との関わりが描かれる。5編のかなでもふたつのAIの間で交わされるやり取りのみで描かれる「ろーどそうるず」が一番人間味のある作品になっているところはいい意味で不思議な矛盾ですね。2020/10/31
dr2006
67
森羅万象を計算する事で強国を築いた国王の波乱万丈を描く表題作「アリスマ王の愛した魔物」の他全5編の中編集。中でも日本の稲作を継承する小惑星に不時着した軍人の話「ゴールデンブレッド」と、AI技術が進んだ近未来、レベル3の自立運転車と運転席に着座する人型ロボットの心と権利を描く「リグ・ライト」が好みだった。責任とは罰を受けることが出来ること。罰を受けることが出来ないAIには残念ながら人権が無い。未来、宇宙、ロボット、恋愛がミックスされたファンタジー、流石小川氏だ。純粋なSFが読みたいならお薦め。夢中になれた!2021/08/15
なっぱaaua
64
短編が5本。どれも面白く素晴らしい。特に「星のみなとのオペレーター」「リグ・ライト 機械が愛する権利について」が好みです。書下ろしの「リグ・ライト」以外は2010~2012年の作品なのね。「星のみなと~」コンちゃんはいったい何だったのだろう。すみれが幸せで良かったね。「リグ・ライト」はAIの進化の中でこの様な判断をAI達がしてくる可能性はあるのだろうか。後少し未来まで生きていればで分かるのだろう。2018/02/26
くたくた
59
雪風といい、トーレンの正義といい、わたしはやっぱり健気な機械が大好きらしい。短編の第1話「ろーどそうるず」自意識をもったバイクの一生。やんちゃな口のききようと裏腹に純情真面目なバイクの魂は、人間からみたらノイズでしかないのか。めちゃくちゃ切なかった。シンギュラリティが近いらしいが、いつかどこかで、AIに魂が宿るときが来るのだろうか、などと考えつつ。「ゴールデンブレッド」ヤマトとカリフォーニャの文化逆転をどういう話に持っていくのかと思ったが。「アリスマ王」なんとなく、ナウシカ原作に出てくる黒いやつを連想。2019/03/16
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