出版社内容情報
鬱屈した日々を送る大学生、筧井雅也に届いた一通の手紙。それは稀代の連続殺人鬼・榛村大和からのものだった。
内容説明
鬱屈した日々を送る大学生、筧井雅也に届いた一通の手紙。それは稀代の連続殺人鬼・榛村大和からのものだった。「罪は認めるが、最後の一件だけは冤罪だ。それを証明してくれないか?」パン屋の元店主にして自分のよき理解者だった大和に頼まれ、事件を再調査する雅也。その人生に潜む負の連鎖を知るうち、雅也はなぜか大和に魅せられていく。一つ一つの選択が明らかにする残酷な真実とは。
著者等紹介
櫛木理宇[クシキリウ]
1972年新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。同年、『赤と白』で第25回小説すばる新人賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よむヨム@book
484
★★★★☆ 星4つ 映画を観て、興味を持ち原作を読んでみた。 映画と原作では、榛村大和と筧井雅也の印象が違った。 特に、榛村大和は阿部サダヲさんの名演のせいか、映画の方が残虐で怖く気持ち悪さを凄く感じた。 冒頭で、キェルケゴールの言葉で「絶望とは死にいたる病である。」と記述されているが、櫛木理宇さんは、榛村大和にとって『死刑にいたる病』は何なのか? 私は、プロローグに書いてある『孤独』ではないかと解釈した。 また、少し時間をあけて、映画とこの本を再観賞、再読したい。2022/10/24
そる
413
第1章から主人公雅也が鬱屈しすぎて胸糞悪い。第2章から惹き付けられて一気だが、暴行して殺人、虐待や生育歴がエグくて気持ち悪くて悲しくて、険しい顔で読み進む。連続殺人鬼榛村が紳士的で人に好かれることや計算高すぎてどこまで本当なのかとか、気持ち悪いしゾワッと寒気がする。確かに生い立ちが粗悪だとこんな心理になるだろうが⋯なんか救いはないのか。「「不幸な生まれなら、人殺しになってもいいんですか?違うでしょ。孤児だろうと施設育ちだろうと、犯罪とは無縁に立派に生きてる子たちが世の中にはたくさんいるんです。(略)」」2021/06/21
茜
410
シリアルキラーというのはどうしてこうも人の興味を惹きつけるのだろう?あまり良い考え方ではないけれど、多分それは人という禁忌を破った者への未知への憧憬に似たような気持ちがもしかしたらあるのかもしれない。雅也は知らず知らずのうちに榛村大和に影響を受けてしまうのも、そう考えたなら納得出来るのではないだろうか?「嘘をつくときは、九割方真実を話すのがいい。残りの一割だけで嘘をつくのがこつだよ」と、これは大和の言葉だけどなるほどなと納得してしまった。2021/11/14
あきら
401
展開が読めなさすぎて、かなり終盤まで結末がまったく予想できなかった。いつの間にか脳が支配されたように、物語にどっぷり浸かります。 羊たちの沈黙のレクター博士を思い出しました。 とても面白かったけど、これは後味悪いな。 2022/02/24
yumimiy
328
4冊目、この作家が描く残酷はホントに面白い。冷酷で残忍な連続猟奇殺人犯、榛村大和は獄中に居ながら人々を操る怪物。まるでハンニバル・レクター博士のようだった。人間は美しいもは勿論だが、危険な怪しいモノにも魅了されるんだなと思った。死刑確定であろう大和から手紙が届き面会した青年は、徐々に大和の思う壺にハマってゆく様が恐ろしや。それは、鬱屈した精神で日々、視野の狭い日常を過ごした結果の落とし穴。青年は大和の呪縛から逃れるだろうか…。最後に、凄く怖い言葉の引用があった。「あたしはあなたの病気です。」こわいよ~😱2023/04/05